ネットを信じ込む妊産婦と医師の情報差の実態 不明確な情報が氾濫する中で必要なこととは
皆さんは、現代のお母さんたちが、一昔前と比べてとても便利で豊かな妊産婦・育児生活を送っていると考えていますか? スマホやインターネットの普及が進み、SNSなどを通して不安などをシェアしながら快適な生活を送っていると思われがちです。もちろん、欲しい情報がすぐに手に入る、誰かにすぐに相談できる、そんな環境が与えてくれる安心感もあります。
一方で、情報量の豊富さゆえ、リスクや不安も生まれています。そして、日々妊産婦と向き合う産婦人科医たちも同じくらい情報に対して課題を感じています。今回は、妊産婦と産婦人科医が抱えていた問題と、その解決に向けた挑戦をお伝えしたいと思います。
妊産婦と産婦人科医が抱える課題
情報検索が容易で便利な現代ですが、妊産婦や産婦人科医にとってこの状況は喜ばしいことばかりではありません。ネット上には出典元が不明確な情報が氾濫し、「妊産婦はインフルエンザの予防接種を受けるべきではない」「妊産婦はどんな薬も服用してはいけない」「赤ちゃんに抱き癖が付くからあまり抱っこはしないほうがいい」といった誤った常識や古い情報も無数に出回り、そういった情報を正しいと信じている人も少なくないからです。
1人ひとり状況がまるで異なる妊産婦がこの中から妊娠周期や自分のケースに合う的確な情報を選び出すことは、まるで砂漠の中から1本の針を見つけ出すようなものなのです。
そのような状況を作り出さないように、産婦人科医が適切な時期に必要な知識を直接伝えられればよいのですが、妊産婦とコミュニケーションが取れる健診の場では、赤ちゃんに異常がないかの確認を最も大事にしたいため、妊産婦の不安や疑問をじっくりと解消できる機会はかなり限られているのが現状です。
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