違うからこそ、相手の話を聞くことが大切
そんな福本さんに、おいしいイタリアンに連れて行ってもらったとき、
インド人とのビジネスコミュニケーションについて、こんな話を聞いた。
「インドと日本は、お互いに持ってないものを多く持っている。
それはオフェンスとディフェンスな面、個と集団の性質、1本のロング
シュートと戦略的なゴールの進め方みたいなことなんだけど、
この2つの国の人々が組めば、世界最強のチームになるのでは、って
思ってるんだよね。でも、東京のスキル教えてやるぜ! なんてやると、
うまくいかない。違うからこそ、逆に相手の話を聞くことが大切。
聞く姿勢というか、環境というか」
ぼくは目の前に置かれた、インドでは珍しい生ハムの盛り合わせを
ここぞとばかりにむしゃむしゃ食べながら聞いていた。
聞く姿勢としては最悪である。
「日本人のステレオタイプって、細かい文句を言うとか、シリアスとか。
そんなイメージが多いから、ぼくはニコニコするようにしいてる。
普通の表情してるとき、今日は何をそんなに深刻な顔してるの?!
って言われるくらい。エラそうぶっちゃダメ。そうすることで、
インド人が話をしやすくなって、聞ける環境が作れるんだ。
コミュニケーションが多くなり、結果的にチームとして動いていく」
福本さんの柔らかい話し方とその笑顔は、インド人じゃなくとも
ぼくみたいな年下の日本人にだって話しやすい、心地いい環境を
自然につくってくれる。もうすぐ生ハムも食べ終わりそうな勢いだ。
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