下落説が噂される家の「売り・買い時」はいつか 価格下落が取り沙汰される「20XX問題」の真相

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新たにささやかれている「2025年問題」について紹介しよう。2025年になると、人口減少期に団塊世代が大量に後期高齢者に突入する。介護施設に移ったり相続が発生したりして、空き家が急増することで住宅価格が下落する、というものだ。しかしさすがに、いきなりそういった事態には陥らないだろう。

専門家の予測は?

では、専門家はどう予測しているのだろうか? (一財)日本不動産研究所が、東京23区の新築・標準タイプ(専有面積40~80㎡未満)のマンション価格および賃料の2025年までの中期予測をしている。マンションの価格は2019年で微増、2020年でほぼ横ばい、2021年以降は微減すると見ている。

人口や世帯数が減少する一方、住宅ストックは増えていくので、住宅の価格は緩やかに微減するとしても、いきなり急落するといった事態は想定されていないのだ。もちろん、現時点のデータによる予測なので、状況が変われば予測値も変わり、価格の変動を保証するものではない。

実は住宅の価格は、マンションと戸建てでは異なる。新築マンションは、道路や公共施設、五輪関連施設などと同じ鉄筋コンクリートで造るうえ、投資需要や海外需要などの影響を受けるので、現状は高値横ばい傾向になっている。一方、マンションと違ってほぼ居住用として売買される戸建ての価格は、おおむね横ばいが続いていて、安定した市場を形成している。

こうした市況のうちは、住宅の売買をじっくり検討できるので、ちまたの噂に踊らされることのないようにしたい。

とはいえ、マンション・戸建ていずれも人気・不人気の二極化が進んでいる。利便性があるなど需要が見込める物件か、付加価値が乏しく需要が見込めない物件かで、選別が厳しくなっているのだ。所有する住宅が人気組と不人気組のどちらに該当するかによって、売り時を考慮する必要はあるだろう。買う側も、単に価格の安さだけで選ぶと、次に売りづらい物件を手にするリスクがある。

片や、買い時の様子見を続けているうちに、住宅ローンの金利が上がってしまったり、完済年齢が遅くなってしまったりして、マネープランに影響が出てしまうリスクもある。希望に合う物件に出会ったときが、買い時と考えてもよいだろう。

住宅を「売ろう」「買おう」と思い立つのには、理由があるはずだ。自分たちならではのタイミングで、生活の基盤を整えることの意味は大きい。思い立ったときが、大きな売り時・買い時だと、シンプルに考えてはどうだろう。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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