30歳までに転職しないといけない、というワナ

【特別対談】神原一光×太田彩子(2)

信頼関係の築きかた

太田 20~30代とのコミュニケーションは、40代以上の常識とはかなり違うようですが。

神原 いわゆる「ノミュニケーション」はいらないという風潮があるようですね。仕事上での信頼関係さえあれば。

太田 先日、ある管理職の男性が、「女性部下からものすごく長いLINEのメッセージが届いたんですが、怖いから無視しました」と言っていました。今はちょっとした言葉がパワハラになるから、警戒するのもわかるのですが、何かしらのレスポンスはしないと、信頼関係は生まれません。彼としては、直接言えばいいのにと思っているみたいですが、LINEだって彼女なりのアピールですからね。

神原 これはある大学の教授からお聞きしたのですが、女性、というか女子の多くは、集団の中で単独では発言しないけど、1対1になった途端に発言するそうなんですよ。

太田 なるほど。だからLINEも長文になるんだ。

神原 集団においては、ものすごくルールを決めてもらいたがると。その教授いわく、大学でも「先生、出席をとってください。レポートは必ず返してください。テストをやってください」と、細かい規範を求めてくる。でも、教授と1対1になると、「私、頑張ってますよね? ぜひ、いい評価をしてください」なんて言い出すと。つまり、この世代に対するマネジメントは、部署全体に対して話をする一方で、個別対応もするというマメなやり方であるべきなんじゃないでしょうか。集団の中で突出することは嫌うけれども、個人としては成長意欲がある特性を、マネジメントに取り入れる感じでしょうか。でも、これはもしかすると女子に限らないのかもしれないですけどね。

太田 個別対応、面倒くさいですけど、そういう上司って人気あるんですよね。

神原 管理職というのは、人をマネジメントすることにお給料が支払われているわけなので、そこは頑張っていただきたいですよね。さまざまな企業を取材しますが、実際、管理職にそれができている部署は、うまく回っているように思います。

太田 私が知ってるケースでも、確かに成果を上げています。全国でビリッケツの営業所に赴任してきた上司が、所員一人ひとりに個別対応をし始めたんですよ。闘争心がある女性には「あの人には負けるな」と鼓舞する一方、お子さんがいる女性には仕事と育児の両立に気を遣ってあげながら、「お母さんとして頑張んないとね」と母性に訴えかけた。その営業所、半年後には全国でベスト3の成績を上げたそうですよ。上司のマネジメントひとつでこんなに組織が変わるんだって、驚きました。

(構成:稲田豊史/収録場所:cafe lounge SUNS/第3回に続く)

『新世代トップランナーの戦いかた 僕たちはこうして仕事を面白くする』
20~30代のNHK職員を対象として2012年9月から開催しているトークセッション「ジセダイ勉強会」に招聘された8人の講演をまとめた1冊。登場するのは、起業家の安藤美冬、ライフネット生命社長の岩瀬大輔、野村不動産の刈内一博、三越伊勢丹セールスマネージャーの額田純嗣、NPO法人「二枚目の名刺」代表の廣優樹、コルク代表の佐渡島庸平、星海社新書初代編集長の柿内芳文、元プロ陸上選手の為末大。各界のトップランナーたちが明かす仕事観・仕事術はどれも刺激的なものばかりだ。

 

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