会社員が毎日出勤する意味はどれだけあるのか 場所に縛られないことの想像以上の効用

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入社時は、「プレイ」の仕事観だったのに、次第に「ワーク」になり、人によっては「レイバー」になってしまう……。仕事のできるプレイングマネジャーは、ここに気づいていない人も多いので、注意が必要です。

「プレイ」の仕事観であり続けるために

ですからマネジャーは、メンバーに「仕事を楽しむ」機会を提供しなければなりません。そのために必要なのは、「あそび心」です。

マネジャーがマジメに仕事をし続けるだけでは、部下はすぐに仕事がつまらなくなってしまうことでしょう。

こちらの写真をご覧ください。これは、ある結婚式場の清掃スタッフが、落ち葉をかき集めて、「撮影スポット」をつくったものです。

スタッフに尋ねたところ、上から指示されたわけではなく、「このチャペルの前で記念撮影をしてもらったら、面白いかなと思ったのでつくった」とのこと。

このような「プレイ」の発想を部下に持ち続けてもらうために、マネジャーがすべきことは、部下に、「面白いと思ったからやる」という「あそび心」を奨励することです。

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大事なのは、「ここまでやっていいのかな」という、部下のメンタルブロックを取り除くこと。マネジャー自身が率先して、「ここまでやっていいんだ」と思われるようなフェアウェイの広さを見せるのです。

私も、プレイングマネジャー時代、「あそび心」を意識していました。「面白そうだな」と思ったことを、実際にやってみることで、部下にフェアウェイの広さを見せることを意識していたのです。

その影響もあったのでしょう。当時の部下は私の知らないところで、さまざまな「小さな実験」をしていました。

プレイングマネジャーはつい、部下の気持ちを忘れ、目先の業務の進捗確認に陥りがちなもの。たとえ、ルーティン業務の繰り返しであっても、職場に「あそび心」があふれていれば、部下の仕事観は「プレイ」に変わるのです。

部下に仕事を楽しんでもらうために、まず自分が仕事を楽しむ。忙しい最中でも、ぜひこの心がけを忘れないでください。

伊庭 正康 らしさラボ代表

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いば まさやす / Masayasu Iba

1991年リクルートグループ入社。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。その後はプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回、累計40回以上の社内表彰を受ける。営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立。リクルートで学んだ「圧倒的な当事者意識」を持つことや「短時間で成果を出す方法」などをメインテーマに、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行い、リピート率は9割を超えている。

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