毎朝、コワーキングスペースに“出勤”
吹く風から潮の香りがする。千葉・房総半島の海岸沿い。白い壁とオレンジ色の屋根で造られた、南欧風の平屋建てが陽光に映える。もとは隣接する公営プールの更衣室だったというこの建物。現在は、フリーランスとして働く人々が共同で利用する仕事場・コワーキングスペースとして使われている。
玄関を入ってすぐの共用スペース。天井が波状に垂れ下がる白い布でリフォームされた開放的な空間で、コーヒーサーバーやソファが置かれている。扉一枚隔てた部屋は、10脚ほどのいすが設置された作業スペースだ。運営主体は民間の事業者。地元自治体がフリーランス支援を通した若者移住に力を入れており、現在、20代の若者を中心に、全国から集まってきたライターやウェブデザイナーたちが利用しているという。
今春、大学を卒業したばかりのウェブライターのトモヒサさん(22歳、仮名)もその1人だ。毎朝、ここに“出勤”、パソコンで登録しているクラウドソーシングサイトから仕事の依頼があるかをチェックする。クラウドソーシングとは、ネットを介して企業や個人が仕事を発注、不特定多数の人々が受注するシステムのこと。トモヒサさんは、同サイト大手の「クラウドワークス」と「ランサーズ」を利用している。
執筆分野は、NISAの活用方法や、大型家具や家電の処分方法など多岐にわたる。報酬は「1文字〇円」で、単価は仕事によってまちまち。ただ、単価は下落傾向にあり、「毎日休むことなく働いても、(クラウドソーシング側への)手数料を支払った後で手元に残るのは、毎月15万円から20万円くらい。執筆本数ですか? 毎月50本くらいです」
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