「カフェで仕事する人」はぶっちゃけ邪魔か コーヒー1杯で居座られても…
カイル・グランビルは、ロサンゼルスのロスフェリス地区にあるカフェの共同オーナー。おいしいコーヒーとワッフルを提供する店は大盛況で、オープン3日目にして、70席のテラス席は満席になった。
さぞかし喜んでいるかと思いきや、グランビルの表情は暗い。「みんなヘッドフォンを着けてパソコンとにらめっこだ」。そう言うと、オフィススペースにあるWi-Fi(無線LAN)ルーターの電源を切り、ゴミ箱に放り込んだ。
アメリカ人の4割以上が在宅ワーク
レンガづくりの建物の中庭で、客どうしがおしゃべりに興じる憩いの場――。グランビルが思い描いたのは、そんなスペースだった。ノマドワーカー(在宅ワーカーやフリーランサー)に占拠されて、静まり返ったリモートオフィスではない。
もちろん無料Wi-Fiがなくても、スマートフォンのテザリング(ホットスポット)機能を使えばインターネットにつなぐことはできる。それでもグランビルは、店の姿勢をはっきりさせたかった。
それから約1年半。ある平日の午前に店をのぞいてみると、中庭は相変わらず満席だったが、みんなおしゃべりに興じている。パソコンを使っているのは1人だけだ。
カフェに長居するノマドワーカーは昔からいた。だが、その数が目立って増えていると、カフェのオーナーたちは言う。2016年のギャラップの調査によると、アメリカのサラリーマンで、ときどき在宅ワークをするという人は43%に達した。労働時間の半分以上を在宅でこなしている人は、2005年の2倍以上いるという調査結果もある。