「愛玩子」と「搾取子」をつくるゆがんだ親の心理 兄弟格差をつけることに何の意味があるのか

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自らの子にもかかわらず、兄弟間で差をつける親の心理とは(写真:TATSU/PIXTA)

子どもの気持ちよりも世間体や見えを優先しようとする、子どもを罵倒し人格を否定する、しつけと称して暴力を振るう……。

子どもを攻撃する「毒親」にはさまざまなパターンがある。「子どもに必要なものを与えない親」や、「兄弟姉妹で格差をつける親」もそうした親の一例だ。常識的に考えれば「いけないこと」をなぜしてしまうのか。『子どもを攻撃せずにはいられない親』の著者で精神科医である片田珠美氏が、そうした親の心理を分析する。

父が出ていってから酒浸りになった母

子どもに必要なものを与えない親がいる。最も深刻なのは、生存に不可欠な食べものを与えない親で、そういう親に育てられた患者の話を聞くことも少なくない。例えば、パニック障害で通院中の20代の男性は自分自身の生い立ちについて次のように語った。

「僕は、母1人子1人の家庭で育ちました。親父は、僕が小学校低学年のときにギャンブルで借金をつくって家を出ていきました。親父がいなくなってからしばらくの間、借金の取り立ての人が家に来て怖かったのを覚えています。

その後、母は1日中お酒を飲むようになり、料理も洗濯も掃除もしませんでした。家に食べるものがないので、1日1食給食で飢えをしのいでいました。担任の先生も僕の事情を理解して、余ったパンを僕にくれたのですが、持って帰る途中、いじめっ子にパンを地面にたたきつけられ、足で踏まれたこともあります。そのうえ、いつも同じ服で、洗濯もしてもらえなかったので、『臭い』といじめられました。

近所の人が見るに見かねて、民生委員に相談してくれ、生活保護を受けられるようになったのですが、母は相変わらず酒浸りで、料理を一切しませんでした。だから、お金をもらって自分でスーパーに行き、菓子パンやカップラーメンを買って食べていました」

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