三つ子次男の「虐待死」に映る多胎児家庭の辛労 9月24日に控訴審判決、罪をどう償うべきか

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なお、双子や三つ子といった多胎児が生まれる可能性は、体外受精などの不妊治療によって高まることが、厚生労働省の調査研究などで指摘されている。多胎児の出生割合は体外受精が本格化し始めた1980年代後半以降に急増し、現在は当時の約2倍にまで増加している。

2500グラム以下の子が生まれる割合は、単胎児では約8%のところ、多胎児では実に70%以上に上るとされ、低体重で生まれる割合も高い。その分健康上のリスクも大きくなりがちだ。

このような多胎児を抱える家庭への支援は十分だろうか。豊田市は事件が発生するまで、多胎家庭に特有のリスクを認識していなかった。「市の対応は母への支援とはならず、母が抱いていた多胎に対する不安は解消されていなかった」。三つ子事件を受けて発足した豊田市の外部検証委員会はそう報告する。

大半の自治体が特化した支援を行っていない

前出の厚労省調査からも、大半の自治体が多胎児に特化した支援を行っておらず、地域の多胎サークルなどがその役割を担っている現状が明らかになっている。

豊田の三つ子の母に対しては、執行猶予付きの判決を求める署名活動が行われている。9月17日現在で、3万6000筆を超える署名が集まった。同じように子育てをする母親などが、この母は残る2人の子を育てながら罪を償うべきと支援している。子どもを死なせた罪をどう償うべきか。控訴審の判決は9月24日に言い渡される。

『週刊東洋経済』9月21日号(9月17日発売)の特集は「子どもの命を守る」です。
辻 麻梨子 ジャーナリスト

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つじ・まりこ / Mariko Tsuji

1996年生まれ。早稲田大学卒。非営利の報道機関「Tansa」で活動。現在はネット上で性的な画像が取引される被害についてシリーズ「誰が私を拡散したのか」を執筆している。

 

 

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