中国・高速鉄道網建設の内幕、財務リスクを飛び越え走り出す

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 まるで国際空港のような巨大な駅舎に最新鋭の高速列車が発着する北京南駅は、今や中国鉄道の顔といってよい存在だ。京津都市間鉄道は最高時速350キロメートルで、ここから天津までの120キロメートルを30分で駆け抜ける。昨年8月1日、北京五輪に合わせて開通した。

独シーメンスの技術をベースとした車両が主体だ。当初はJR東日本の「はやて」ベースの車両と半々だったが、営業運転速度200キロメートルを想定した「はやて」型を350キロメートルで営業運転するのは安全性、経済性ともに難があり、「はやて」型は順次ほかの路線に転出中だ。

京津都市間鉄道は、2010年前後に開通とみられている北京-上海を結ぶ高速鉄道の一部という位置づけだ。中国は高速列車を走らせる旅客専用線のネットワークを作る計画で、「4縦・4横」と称されるプランが想定されている(下地図)。

これらの路線計画にはなお延伸の可能性がある。かつてない規模の巨大商戦に、「北京-上海線が高速鉄道ビジネスの将来を占う」(日立〈中国〉社会産業基礎設施部の新井知水総経理)として、日本勢はポスト「はやて」型の開発と売り込みに知恵を絞っている。

鉄道建設は、総額4兆元の景気刺激策の主要メニューとして注目されている。中国の鉄道部(省)は、今後2年で鉄道への投資は1兆元に上るとの見通しを示している。09年には6000億元が投じられる見通しだが、積み増しも考えられる。

鉄道部は鉄道整備のための中長期計画を04年に制定した。骨子は20年までに2兆元を投じ、鉄道総延長を10万キロメートル(07年時点で7・8万キロメートル)に延ばすというものだった。

その最新版が4兆元政策発表後の08年末に発表されたが、20年時点の総延長は12万キロメートルに上方修正され、投資額も3・5兆~4兆元に引き上げられた。04年時点では延べ1万キロメートルとされた高速鉄道網も2万キロメートル近くまで延長されることになった。当初からあった「4縦・4横」に大都市周辺の都市専用線をプラスしたためだ。高速鉄道網は15年ごろにはほぼ完成し、ほかの路線の整備も20年ごろにはほぼ一段落する見通しだ。


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