「あなたの番です」の熱狂に見えたドラマの未来 視聴者の今をとらえたコンテンツのすごみ

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『あなたの番です』がここまでヒットしたことによって、ドラマに限らず今後のエンタメコンテンツは、作品としての質よりも視聴者を楽しませる仕掛けが優先されていくのではないでしょうか。

かつてのように「家族で同じものを楽しむ」という機会が減った今、「多くの人々が一緒に楽しめる」ものは、それだけで貴重。ひいてはエンタメに限らずコンテンツ全般において今後は、「作り手の複合的な仕掛けで、楽しみを共有できる」ものが増えていくかもしれません。

最終回の最後も「アッと驚く」衝撃必至

最後に、少し最終話にふれておきましょう。

現在まで、さまざまな考察が錯綜する中、最も目立つのは、「二階堂忍(横浜流星)の凶行はフェイクで、黒幕は黒島沙和(西野七瀬)」という説。事実、最も疑われる要素が多いのは黒島であり、競馬にたとえると大本命と言っていいでしょう。

しかし、『あなたの番です』は、ここまで何度も視聴者の予想を超える展開を見せてきましたし、主演の田中圭さんも「『あな番』って(毎話)最後が衝撃的じゃないですか。最終回も最後に衝撃があります」と語っていただけに、アッと驚く結末が待っているのではないでしょうか。

いずれにしても、視聴者にとっては約半年もの間、関心を寄せ、愛着を抱いてきたものだけに、より多くの人々がすっきりとした気持ちになれる結末が期待されているのは間違いないでしょう。

このような期待感を抱けるのは、「誰も結末を知らないドラマオリジナルだから」にほかなりません。その点、『あなたの番です』は、往年のドラマフリークにとっては「ひさびさ」、若年層にとっては「初めて」という、ともにワクワクできるもの。

ドラマやエンタメコンテンツの枠に限らず、あらゆる分野の商品で、大人層に「ひさびさ」、若年層に「初めて」と感じさせられるかどうか。これも今後ヒット商品を生むためのポイントになっていくのかもしれません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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