「児童養護施設」の誤解解きたい20歳男性の覚悟 ようやく見つけた心から安心できる居場所
また、児童養護施設の職員はトモヤの症状についていっさい知らされておらず、施設で暮らす子ども同士も、やはりプライバシーへの配慮から、お互いがなぜ施設に来ることになったのかなど、詳しいことを話してはいけない決まりになっていた。
震災や祖母の死、親からの虐待など、心に受けた傷を誰かに打ち明ける機会はほとんど得られず、必然的にそれらが適切にケアされることもないまま、18歳を迎えたトモヤは昨年、児童養護施設を退所した。
将来の夢は保育士になること
日本の現在の制度では、児童養護施設で暮らす子どもは、18歳になった次の春には多くの場合、自動的に衣食住すべての面で自立を余儀なくされ、支援を得るのが難しくなる。22歳まで「自立援助ホーム」などで仕事や学校に通いながら自立を目指す選択肢もあるが、支援が行き届いているとは言いがたい。
「施設を出た後になんとかまともに生活できるようになるまでは、本当に大変でした。困ったことを相談できる窓口の番号も教えてもらっていましたが、実際に困った事態に直面しても、こんなことを相談していいのかと迷ってしまって。結局今まで、1度も頼ったことはありません」
そんなトモヤの将来の夢は、保育士になることだという。現在は飲食店のアルバイトで、学校に通う資金を貯めている。
「子どもが好きなんです。今でも、暮らしていた施設によく顔を出して、年下の子たちの相談に乗ったりしています」
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