「うつ病」に苦しむ子供を救うための3つのコツ 「クラスに1人はうつ」でもおかしくない

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「子どものうつ」が増えています。子どもの抑うつ状態に気づくには、どんな点に気を付けたらいいのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)  
「うつ病」に悩まされるのは大人だけじゃない。最近は、子どもたちの間でもうつが広まっている。うつ病の可能性が高い子どもの特徴と、その見抜き方について、『「いい親」をやめるとラクになる』を著書に持つ医学博士・古荘 純一氏が解説する。

最近、子どもの元気がない、何か言うと反抗する、ゲームやネットに集中していて会話がない……。これは思春期を迎える子どもの特徴ですが、実はここに子どものこころのトラブルのサインが潜んでいることがあります。子どもが心身ともに健康であるのか? 日常生活に満足しているのか?という視点で考えてみましょう。

WHO(世界保健機関)は、健康とは「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。

身体的な問題を抱えているのか? 生活に適応できているのか?ということは親も気づきやすいのですが、精神的に満たされた状態なのかということを、周囲の大人が気づくことは必ずしも容易ではありません。

私たちは精神的に健康かどうかを判断する1つの指標として、子どものQOL(quality of life/生活の質)尺度を用いています。それには「精神的健康」という質問項目があります。下記の図表は質問項目をわかりやすく改変したものです。

図表:「QOL尺度、精神的健康の質問項目を一部改変」(出典:『「いい親」をやめるとラクになる』より)

このような状況ではないことが、精神的に健康ということになります。この質問は「子ども自身がどう感じたか」を問うものですので、親や学校の教師も気づかないことがあります。学校では友だちと普通に話している、学校行事にも取り組んでいる、ネットでみんなと交流をしているように見えても、「ひとりぼっち」と感じていることもあります。

「子どものうつ」が増えている?

小学校や中学校でこの調査を行うと、多くの子どもは各項目で「ぜんぜんない」「ほとんどない」のどちらかを選ぶのですが、なかには「いつもそうである」「たいていそうである」を選ぶ子どももいます。そのような子どもは、精神的に健康でない可能性があります。

私は、精神的に健康ではない子どもが近年増えているのではないかと感じています。30年以上前から小児科の外来で診察を行ってきましたが、今考えれば、その当時にも精神的に健康でない子どもがいたのかもしれません。しかし子どもを長い期間にわたって経過観察する機会がなく、気づくことができませんでした。

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