「うつ病」に苦しむ子供を救うための3つのコツ 「クラスに1人はうつ」でもおかしくない

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小児科の外来では、頭痛だとか腹痛だとかを繰り返して訴えて、学校に行けない子どもの診察を行ってきました。このような子どもを長い期間診てきますと、精神的な不調も目立つようになる。そして行動面の問題、イライラして友だち関係が築けない、キレやすくなるといったこともあります。

20年くらい前からそのような思いがはっきりしてきました。ちょうどその頃から、QOL調査を診察の現場でも使用するようになりました。調査の結果については前述しましたが、ここでは精神的健康と「抑うつ」についてお話しします。

各項目の調査の中では、精神的健康の項目が高い傾向にありますが、一部に精神的健康が低い子どもがいます。精神的健康が低いと、ほぼ全員がQOL全体も低いということがわかっています。QOLが低くなるほど「抑うつ」の程度が高いこともわかっています。自分自身で精神的健康度が低いと感じている、つまり精神状態が良好でない子どもは、抑うつの程度が高いと考える必要があるということです。

うつ状態とうつ病を区別するのは難しいのですが、その程度が強く、かつそのために生活に支障が生じている場合には、医師はうつ病と判断します。

クラスに1人は「うつ」の可能性が高い

最近の子どもは、以前よりうつ傾向が高いのではないかと感じています。楽しいこともあるかもしれないが、つらいことや悲しいことのほうが多い。何らかのストレスを引きずっており、程度の差はありますが気持ちの落ち込みや憂うつを感じている子どもが多いということです。

実際の調査でも、子どものうつ病が決してまれな疾患でないということがわかってきました。私たちが抑うつの尺度を用いて調査した結果、9~15%の程度の小中学生が抑うつ度が高いということがわかりました。抑うつが高いということと「うつ病」の区別は、実際に面接をして、その程度や生活の支障を確かめます。その結果、2割程度が臨床的にうつ病の可能性があるということがわかりました。

それを中学生に当てはめると3〜5%程度が該当し、世界各国の報告でも3%程度と推測されています。つまり、クラスに1人くらいは、うつ病の予備軍、あるいはうつ病と考えてもいいのではないかというお子さんがいるということで、決してまれではないということになります。

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