数学できる子・できない子を生む算数教育の盲点 テクニックではなく、理解を促す3つのヒント
それぞれ「すべての生徒はスマホをもっていない」「ある生徒の身長は180cm未満である」という誤った解答も多くある。正解は、「ある生徒はスマホをもっていない」「すべての生徒の身長は180cm未満である」となる。
関連する算数の話題を1つ挙げたい。100人の生徒がいると、ある2人は誕生月、性別、血液型が一致する。なぜならば、(誕生月、性別、血液型)の全部でいくつの型があるかを求めると、12×2×4=96なので、96個の型がある。
生徒は100人いるので、ある2人は同じ型になる。昔、小学校での特別授業で同じ内容の話をしたところ、ある生徒から「先生、だったら僕と誰が同じなの?」と質問され、「僕と誰とではなく、誰かと誰かなんだよ」と答えたことが懐かしく思い出される。
また、中学や高校の教員研修会での講演の後で、現場の先生方からよく指摘されることに、次の2つの式の違いに関する生徒の認識の問題がある。
・恒等式 2x+3x=5x は、「xにすべての値を代入しても等号が成り立つ」がポイント
「すべて」と「ある」の重要性
最近、算数の学習指導要領に文字が導入された。方程式と恒等式という言葉は使わないが、それらの違いを意識した指導が求められるだろう。
実は、高校数学を十分に理解している者にとっては、「すべて」と「ある」の用法さえしっかり身に付ければ、「大学数学の基礎は簡単である」と言える。
ドミノ現象をご存じだろうか? 2個のドミノによる説明と3個のドミノによる説明は根本的に違う。2個の場合、倒すだけのドミノと倒されるだけのドミノになる。
ところが3個の場合になると、間にあるドミノは倒されることと倒すことの両方を兼ねる。4個以上になっても3個の場合と同じである。そのような構造があるからこそ、ドミノ現象を説明するとき、3個の場合がとくに大切なのだ。
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