高橋一生「なぜか女性たちの心掴む」圧倒的魅力 「一生ついていきたい」と思わせる良質な芝居
「可変」つまり変わることができる人は、今の時代、魅力的だ。自分が間違っていても決して謝らない人、頑固で変わろうとしない人が山ほどいるからな。変化を受け入れるというのは、決して弱さではない。むしろ強さであり、しなやかさでもある。見栄や虚勢を張る人々にどっと疲れた淑女たちは、変わろうとする・変わることができる高橋の姿に、心を打たれたのではないか。平坦ではない人生を共に歩く人は、変わることができる人のほうがいい。そんな「のびしろ」というか「のりしろ」のある男を演じる代表格、それが高橋一生だったのではないかと推測する。
「凪のお暇」で本領発揮
社会的には器用でも人間としては不器用、決して素直ではない人を、高橋は実に器用に演じることができる。現在放送中の「凪のお暇」(TBS)も、これまたかなりのクズスタートだった。主人公・凪(黒木華)の元彼・我聞慎二(高橋)は、「女は黙って甲斐甲斐しく俺の世話をして、やりたいときにやらせてくれればいい」くらいの傲慢さをもつ、いけすかない男だ。
しかし、その不器用さの裏側に、女性たちがじわじわと心を奪われ始めている。本当は狂おしいほど彼女を一途に愛しているのに、その思いを素直に表現できないからだ。元カノ会いたさが募って土産を手に訪れたり、往来で人目も気にせず号泣したり。「素直になれや!」と応援したくなるほどの強情。それでも、変わることができそうな、のびしろを感じさせる。
えらく長くなったが、要するに演技力が高い。イケメンとか腕の血管がセクシーだとか、そんな上っ面の話ではなくて、とくに連ドラにおいて人を長期にわたって惹きつける芝居ができる人ってことだ。
ブレイク後は駄作に出たり、海外ドラマの吹き替えで棒読み感が前面に出ちゃって大失敗もあった。高橋の人気目当ての「名前貸し」だけみたいな映画にも出演していたので、心底不安だった。「凪のお暇」がようやっと復活というか、本領発揮できる作品なので、胸をなでおろしているところである。
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