高橋一生「なぜか女性たちの心掴む」圧倒的魅力

「一生ついていきたい」と思わせる良質な芝居

個人的には「陽の光を浴びてまっすぐに育ってきてはいない人」を演じる高橋がしっくりくる。何か裏がある、一筋縄ではいかない、強い執着を手放せない人間。殺人犯や反社会的勢力といった直情的なマッスルの暴力ではなく、どこか厭世的で斜に構えた存在が似合う。

2000年代の高橋はさまざまな役を演じていく中で、現代社会のひずみを一身に背負ってきた印象も強い。「天才的〇〇」や「変人だが正義の善人」の役だけで幅も深みも出ない役者とはレベルが違う。何を血迷ったのか、スプラッター映画で主演もしていたが、あれはあれで鬱屈系表現の幅を広げたとも言える。

「モザイクジャパン」(2014年、WOWOW)では、寂れた田舎町を金と性で支配する、ぶっとんだ社長をキレッキレの演技で魅せた。一瞬、正論に聞こえる暴論を滔々(とうとう)と語り、女性を食い物にして権力を手に入れるさまは、平成後期の疲弊感や諦観、弱肉強食の行方を見事に体現。

「だから荒野」(2015年、NHK BSプレミアム)では一見好青年かと思いきや、実は香典泥棒。息を吐くようにうそをつく男の役だった。罪悪感ゼロ、人をだますことが救いになると信じている。この妄信こそ常人にとっては恐怖。ちょっとヤバイ人・あまり遭遇したくない人の役で、高橋の右に出る者はいない。

「民王」でブレイク、貝原茂平の快挙

そうこうしているうちに、大ブレイクが訪れる。「民王」(2015年、テレビ朝日)である。総理大臣のクールな秘書役・貝原茂平が当たり役となり、女性たちは騒然となった。もちろん、若手ホープの菅田将暉主演というのも大きいのだが、高橋演じる貝原の一挙手一投足はSNSでも話題に。怜悧な頭脳と隙のない手腕を見せる一方、コトがうまく運ばないときの地団駄や可愛らしい寝巻姿というギャップが女心を掴んだ。主君を裏切ると見せかけておきながら、一生ついていく覚悟と愛情を実に魅力的に表現。

高橋主演のスピンオフまで制作されたのだから、いわずもがな出世作と断定できる。スマートでツンデレな執事・秘書・従者。これは女性たちの妄想の世界によく登場する理想像なのだが、貝原茂平はそこにピタッとハマったのだ。

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