日本の観光客はIRやスキー場整備でまだ伸びる 菅長官とアトキンソン氏がトコトン語った

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:確かに出ている。これまでの誘致はアジアが中心で、訪日客の85%近くをアジアの観光客が占めている。そのアジアのアウトバウンド(国外旅行)市場が約3億人なのに対し、欧州は約6億人と倍の市場だ。さらに欧州からの訪日客は滞在期間が長いので、たくさんお金を落としてくれる。政府としても欧州からの訪日客誘致に予算が割けるようになり、まだ規模は小さいものの、足元で欧州からの訪日客数が2桁成長となっている。

「日本はスキー大国」

──2020年の東京五輪を終えてから、観光産業が持続成長するためのカギは何でしょうか。

:統合型リゾートやスキー場の整備がカギを握る。これを改善するだけで、年間1000万人は訪日客が増えるともいわれている。

アトキンソン:日本はスキー大国にもかかわらず、スキーの情報発信に消極的だった。設備が古いままで衰退したスキー場が多く、食堂にカレーライスしか用意されていないような所もある。

昨年、日本政府観光局で初めてスキーの観光動画を作ったところ、動画を最初から最後まで再生した回数がとんでもなく多かった。

:それはよかった!

『週刊東洋経済』9月2日発売号の特集は「爆熱!観光立国」。特集内では対談記事を4ページにわたって掲載しています(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

アトキンソン:これをきっかけに訪日スキー客が増え、日本でスキーを体験した人が今度は口コミサイトで「ものすごくよかった」と情報を共有してくれることが、最も効果的。雪だるま式に外国人が増えていくはずだ。

──さらに2030年には訪日客6000万人を目標に掲げています。その頃には地方を中心に少子高齢化がボトルネックとなるのでは?

:所得を引き上げることができれば、地方での生活を選ぶ人も増えてくる。とはいえ、いずれにしても人手は足りなくなる。こうした将来の課題を受け止め、今年から新たな外国人材の受け入れに関する制度である在留資格「特定技能」を設けた。

アトキンソン:これからも訪日客は増えていくだろうが、やはりお金を落としてもらうための政策が重要。コンテンツは用意できているのに、空港や鉄道の駅から観光地までの2次交通が整備されていない地域も多い。政府には、縦割りになりやすい各省庁を連携させて、最大の成果を出せるような役割を期待する。

対談全編(約4500字)は週刊東洋経済プラスをご覧ください。
森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケ、コンサル、エンタメ産業などを担当。過去の担当特集は「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」「激動の出版」「パチンコ下克上」など。

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