その中でもAEBSの肝となるのが、人間の目と同じ認知機能を持つセンサーの進化である。現在、センサーはレーダー/カメラ/赤外線レーザーの3つが主流となっているが、その中でもカメラの進化が著しい。これまで単眼カメラやスバルのアイサイトでおなじみのステレオカメラなどが主流だったが、最新のBMW3シリーズには3つの眼を持つ「TriCam」が採用された。このTriCamを開発したのはメガサプライヤーの「ZF」だ。
あまり知られていないが、ZFは2015年にパッシブセーフティシステムの世界的リーダーの「TRW」を買収し、カメラのマーケットシェアはグローバルでトップクラスだ。そこで今回、ZFジャパンADAS シニア・エンジニアリング・マネージャーの飯田浩喜氏に話を伺った。
20年前から開発をスタートした
まず、センサー用としてのカメラ開発はいつごろから始めたのだろうか。
「カメラは20年以上前に認識技術を含めて開発がスタートしました。当時はエアバック展開制御用の乗員検知、つまり『助手席に大人が座っている』、『子供が座っている』、『誰も座っていない』などを検知するためのセンサーでした」(飯田氏)
では、カメラを安全運転支援に活用するようになったのはいつからだろうか。
「運転支援システムとしてのカメラは、レーンキープ機能を含め2008年に量産をスタートしています。その後、モービルアイEyeQ Chipを統合した複数回の世代改良を経て、現在のTriCamにつながっています」(同)
ちなみに日産セレナから展開がスタートした「プロパイロット」は単眼カメラながらもJNCAPの衝突安全性能評価で初の満点を獲得する性能を持っているが、それはZFのカメラ技術が貢献している。
ただ、カメラは認識機能に優れるが天候変化に厳しい。また、視野角に関しても単眼カメラはまだしも、ステレオカメラのみのスバルのアイサイトはJNCAPで優位性を保てなくなっているのも事実である。
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