「最近の安全支援のトレンドはクロッシング……車両前方での横切り検知です。それを実現させるは広い画角が必要となります。ステレオカメラは2つのカメラを使用して対照物を異なる方向から同時に撮影することで奥行情報(=距離)を正確に計測することが可能ですが、お互いの視野が広くてもステレオとして認識する範囲は狭いのが難点です。一方、弊社の単眼カメラはステレオカメラよりも画角を広くできるうえに、複数のレンズからの画像を効率よく処理できる特長を持っています」(飯田氏)
単眼カメラとステレオカメラの組み合わせ
そこで生まれたのが3つのレンズを持つカメラ「TriCam」だ。画角52度のカメラに加えて300m以上遠方を見ることが可能な長距離認識用の画角28度の望遠カメラ、そして周辺を見る水平画角150度という広い視野を持つワイドカメラの3つで構成されている。
「レンズの数・画角は『それを使って何をしたいのか?』に依存します。例えば、高速道路上での自動化・安心を提供するうえでは、『より遠くを見たい』、『隣の車線に走っているクルマ/バイクを見たい』、『Rの厳しいカーブの車線も見たい』というニーズが出ます。これらに弊社が持つ技術を活用して応えた結果がTriCamなのです」(同)
ちなみに大幅改良された日産スカイラインに採用された「プロパイロット2.0」のTriCamにはBMW3シリーズと同じ画角を持つ3つのカメラが使われている。ZF製かどうかの正式な回答は得られなかったが、想像に難くないだろう。
一方、安全支援システムのセンサーのトレンドは、カメラ単体だけでなくレーダーと組み合わせるセンサーフュージョンタイプが主流だ。ちなみにTriCam搭載のBMW3シリーズもミリ波レーダーを併用している。
「TriCamのみでも対応できることは数多くありますが、システムのロバスト性を高めるという点では、レーダーとのセンサーフュージョンは意味があると思います」(同)
ちなみにZFではミリ波レーダーの開発は行っていないのだろうか。
「実はTRWは宇宙産業にも関わっていたのでレーダー開発はカメラよりも早く、1970年頃から行っています」(同)
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