公的年金の「財政検証」をどう読み解くべきか

制度改正と個人の老後防衛の参考になる

5年に1度の公的年金の財政検証で、経済成長と労働参加が一定程度にとどまれば、所得代替率は50%を下回ることが示されたが・・・(写真:Tackey/PIXTA)

5年に1度行われる公的年金の財政検証結果が8月27日、公表された。

経済成長と労働参加が進めば、所得代替率(現役世代の平均手取り収入額に対する年金額の比率)は50%以上を維持できるが、経済成長と労働参加が一定程度だったり、進まない場合は2040年代半ばに所得代替率が50%を割り込むことが示された。

5年前の2014年に行われた前回の財政検証と比べると、出生率や労働参加率が向上したため、将来の所得代替率はわずかに改善した。

厳しい前提を置くと、所得代替率は50%を下回る

「一般の人々にとって、財政検証結果はあまりに多岐にわたり複雑であるため、何が(財政検証の)幹で、何が枝葉なのかを示す必要がある」

財政検証の結果が報告された社会保障審議会年金部会で、出口治明委員(立命館アジア太平洋大学学長)はそう指摘した。

出口氏が言うように、一般の人々が財政検証の結果を理解するのは難しい。

まず、現行制度がそのまま続くと、さまざまな経済前提の下で将来の給付水準見通しがどうなるのか。今回の財政検証では、経済成長率(実質ベース、2029年度以降の20~30年間でマイナス0.5%からプラス0.9%)や物価上昇率などの仮定を置いて、6つのケースが示された。

経済成長と労働参加が進むケース1~3では、モデル世帯の将来の所得代替率は足下の61.7%から50%強まで低下。それより厳しい経済前提のケース4~6では、2040年代に政府が下限と考える50%を下回る。

次ページ所得代替率は何を意味しているのか
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショック、企業の針路
  • コロナ後を生き抜く
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 西村直人の乗り物見聞録
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激震! 不動産<br>大荒れ市況を徹底分析

コロナショックが直撃したのは、ホテルや大都市に立地する商業施設です。一方、郊外の商業施設や物流施設は需要増に沸いています。分譲マンションやオフィスビルの先行きには不透明感が漂います。不動産業界における明と暗。その最前線に肉薄します。