脳科学者が語る「直感をバカにしてはいけない」

自分の理性と感情はどれだけ信じられるのか

直感を軽視してはいませんか?(写真:Kazpon / PIXTA)
自分は日ごろ理性的に物事を正しく判断しているのか。ただの好き嫌いで判断しているのではないか。ロジックで考えているように見えて、振り返ってみると論理に基づいた判断ではなかった。そんな経験は皆がもっていて、しかもそれは、1度や2度ではないだろう。
働き盛りの30〜40代は忙しい。会社に社会に家庭に合わせた「いい自分」を見せるために、つねに感情も脳も疲弊している。「私の感情はおかしいのか」「私の理性は大丈夫か」「私の脳はきちんと働いているのか」。働く30代の素朴な疑問がライターのもとに寄せられた。
脳科学者の恩蔵絢子さんは、著書『脳科学者の母が、認知症になる ~記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?』の中で、感情が理性を生み出すと語っている。忙しい30〜40代が持つ「感情」「理性」「記憶」の疑問を、脳科学の観点から恩蔵さんに聞いた。

私たちが理性と呼ぶものは、信頼に足るものなのか

――恩蔵さんは自意識と感情をテーマに、長年脳の考察をしていらっしゃいます。そこで伺いたいのが、働き盛りの人なら誰でも迷う選挙の候補者選びについてです。

はい、何でしょう?

――7月に参議院選挙がありました。いつも私が疑問に思うのが、自分は感情や雰囲気に流されずに候補者を選べているのかということです。「もしかすると、きちんと選べていないのでは」と思い、争点を横軸に政党名を縦軸にして、各政党の争点を紙に書き出してみたことがあります。しかしいざ投票する段になって、自分が争点を書く前と同じ候補者に投票しようとしていた。私は本当に理性的に考えたのか、疑わしく思えてしまったんです。候補者を選び取る瞬間、人の脳はどうなっているのか。感情と理性の話を交えて、教えてください。

面白い問いですね。実は脳科学でも似たような研究結果があります。スイスの研究者アントナキス氏らの実験で、一緒に航海するコンピューター・シミュレーション・ゲームの船長を選ぶために、スイスの5〜13歳の子どもたちに大人2人の写真を見せてみました。すると子どもが選んだ船長と、フランス議会選挙における当選1位、2位の結果が一致した。写真は候補者だったんです。

これは大人と子どもの判断はあまり変わらないという結果で、解釈はいろいろとありますが、それぐらい人間は直感をバカにしてはいけないんですね。

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