能力あっても無礼な人がやっぱり得しない理由 リーダーはもちろん立場関係なく大事なこと

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同じように、リーダーの礼節ある態度は、従業員に安心感を与えるという意味でも重要。自分の所属するチームや、企業の環境が安心できるものであり、周囲の人々も信頼、尊敬できるのであれば、たとえリスクがあったとしても新しいことに取り組んでみようという勇気が出てくるということだ。

ポラス氏による実験でも、敬意を態度で示されると、敬意のなさを示されたとき(会話中に話を遮られるなど)に比べ、安心感は35パーセント程度向上するという結果が得られている。また別の調査では、メンバーが安心して仕事に取り組むと、チーム全体の業績が著しく向上するという結果も出ている。

グーグルでは、社内の180のチームを対象にした調査を行ったが、その結果、チームのメンバーが誰かよりも、メンバーどうしがどう関わり合うか、メンバーがともにどう仕事を進めていくか、また各メンバーが互いの貢献を正しく評価できるかといったことが重要だということがわかった。(52〜53ページより)

メンバーの安心感が強いほど、彼らは他のチームメイトのアイデアを積極的に取り入れるようになり、グーグルを離れる可能性も少なくなる。言い換えれば安心している従業員は会社に対してより多くの利益をもたらし、上層部からの評価も高くなるということだ。

当たり前だけれど大切なこと

本書の中心になっている「礼節を重んじる」「礼儀正しくある」という考え方は、ある意味においては当たり前すぎることかもしれない。しかし、当たり前すぎるからこそ、つい見逃してしまいがちだともいえるのではないだろうか?

『Think CIVILITY(シンク・シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

日々の業務に追われていると、礼節にまで気持ちが及ばなくなってしまうこともありうるということだ。だがポラス氏が指摘しているように、長い目で見ればそれは人間関係に悪影響を与えることにもなる。

だからこそ、ここで改めて原点に立ち返り、「礼節」「礼儀」の意味を改めて考えなおし、そこから得たエッセンスを実生活に役立ててみるのもいいかもしれない。

ちなみにポラス氏は本書を、仕事で成功したい人、自分の影響力を高めたい人にぜひ読んでほしいという。とはいえ、経営者や管理職だけのために書かれているという意味ではなく、誰にとっても役立つように書かれている。

つまりは立場に関係なく、人として「礼節」「礼儀」は求められるべきものだということなのだろう。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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