能力あっても無礼な人がやっぱり得しない理由 リーダーはもちろん立場関係なく大事なこと

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さて、次に「[組織編]礼節ある企業が得られる2つのメリット」を見てみよう。というのも礼節は、企業などの集団の全体としての業績にも好影響をもたらすことがわかっているというのだ。

職能の異なる様々な人が集まった製品開発チームを対象に実施された調査では、リーダーがチームのメンバーに丁重な態度で公平に接すると、メンバーが個人としても、チーム全体としても高い業績を上げることがわかった。
その場合、チームのメンバーは自分に最低限求められるよりも上の仕事をする。これはすべてリーダーの態度から始まったことだ。リーダーが礼節ある人なら、チームの業績、創造性は高まる。(49〜50ページより)

その場合のメリットは、誰かが何かをミスしても早く見つかること、誰もが自分の意思で率先して行動すること、そしてメンバーの精神的な消耗が少ないことだ。

好例として紹介されているのが、コストコの創業者であるジェームズ・シネガルのケースである。「小売企業にとって、顧客と従業員は株主よりも重要だ」と考えたシネガルは、自ら小まめに店舗へ足を運び、感謝の気持ちを従業員に伝えたのだという。

もちろん会社としても従業員を尊重し、さまざまな面から努力に報いる姿勢を見せた。その結果、コストコの従業員1人当たりの売り上げは、最大のライバルであるサムズ・クラブの2倍近くになっている。

また従業員の離職率が非常に低いため、1年当たり数億ドルのコスト削減を実現。従業員による窃盗も際立って少なく、株価も200パーセントを超えて上昇。

従業員に対して経緯と思いやりを示す経営方針が、ビジネスによい結果をもたらしたということだ。

礼節ある経営者は礼節を重んじる

ポラス氏の行った実験では、リーダーの礼節を示すちょっとした態度だけでも、企業全体にかなりのよい影響があることがわかっている。それだけで、チームや企業に属するメンバーたちの態度、行動がよい方向に、チームや企業全体の価値を高める方向に変わるというのである。

敬意ある態度を取る人と、そうでない人を比較したある調査では、前者と情報を積極的に共有したい人は、後者に比べ59パーセント多いという結果が得られた。また、前者から助言をもらいたい人は後者に比べ72パーセント、前者から積極的に情報を得ようと考える人は後者に比べ57パーセント多いという結果になった。(51ページより)

リーダーの礼節ある態度がチーム、企業にとってよいのは、それによって従業員が安心を感じることができるからだ。その結果、従業員はより幸せな気分になり、同時に自分自身もよりよい人間であると思えるのである。

次ページ安心感があれば…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事