能力あっても無礼な人がやっぱり得しない理由 リーダーはもちろん立場関係なく大事なこと

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礼節ある人はそうでない人よりも、たやすく大きな人的ネットワークを築くことが可能。そしてネットワークが大きくなればなるほど、そこに有能な人材が含まれている可能性も高まることになる。

ソーシャルメディアなどが発達した現代においては、自ら積極的に動いて大規模な人的ネットワークを築こうとする人も多いだろう。ただし当然ながら、熱心なだけではネットワークを広げることはできない。そればかりか当人に礼節がなければ、周囲に人は集まってこないものだ。

そのことは私たちの実施した調査の結果からも明らかである。礼節ある人は、発想、情報、人をつなぐ役割を果たすことができる。境界を越えることも容易にできるため、そういう人はソーシャルメディアだけではなく、当然、企業などでも力を発揮する。(45ページより)

それだけではない。ネットワークの恩恵、利益を誰よりも多く享受するのも礼節ある人だ。逆に無礼な人には、ネットワークからの利益がもたらされることは少なくなる。

本来、ネットワークからは多くの助言や情報が得られ、キャリアアップの機会も得られるはずなのに、無礼な人はそういったチャンスから遠ざけられてしまうということだ。

出世の可能性が高まる

ところで、もしも企業の中でリーダーの地位まで上り詰めたいと願うなら、周囲の人たちに「その地位にふさわしい人だ」と思ってもらう必要があるとポラス氏は主張している。

調査によれば、一般に礼節ある人(他人の尊厳を認め、誰に対しても敬意ある礼儀正しい接し方をする人)ほど「リーダーにふさわしい」とみなされやすいという結果が出ているというのだ。

あるバイオテクノロジー企業を対象とした調査では、周囲から礼節ある人とみなされている人は、無礼だとみなされている人に比べ、「リーダーにふさわしい」と評価される可能性が2倍になるという結果が得られた。(46ページより)

そればかりか、企業内での業績も約13パーセント、礼節ある人のほうが高いというデータもあるそうだ。加えて、自分が礼節ある人間であるという証拠を見せると、周囲の人に有能なリーダーと思われやすくなるということもわかっているというのだから見逃せない。

7万5000人以上を対象とした国際的な調査では、優れたリーダーとみなされている人の多くが、他人から「思いやりがある」「協力的」「公平」という評価をされているとわかったという。

同種の69の調査結果をまとめて分析した研究者も、現代において望ましいとされるリーダーは、「気配り」「やさしさ」「思いやり」など、従来なら「女性的」とされてきた資質を持った人だと指摘しているようだ。

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