このジンワリとしたアクセル操作では2000回転前後でシフトアップがテンポよく続くので、意識せずとも静かな加速が行える。ここはCVT×1.5Lガソリンターボにはないディーゼルならではの特徴だ。また、もともと静粛性が高いボディ構造を採用するエクリプスクロスなので、加速時であっても低いエンジン回転数を常用するディーゼルエンジンではさらに静粛性が際立っている。
一般的にCVTは構造上、ATのようにエンジン回転数と加速力を同調させることが不得意で、加速時にエンジン回転がやや先行する特性がある。今回は同じオンロードをCVT×1.5Lガソリンターボと乗り比べることができたのだが、やはり最新型のCVTを搭載するエクリプスクロスでも若干、その傾向は残る。
3500回転を過ぎると加速度が急激にダウン
今回はオフロードコースも試乗した。大きな岩が転がるガレ場や、凹凸が設けられたモーグル路では高い走破性能を体感した。2019年2月には圧雪コースでS-AWCによる4輪制御技術を確認したが、今回は高い剛性をもつプラットフォームによって対角の2輪が浮いてしまうような悪路でも、接地している残りの2輪に駆動力が加わり難なく走破することがわかった。これこそ三菱自動車が長年にわたり得意としている悪路での走行性能であり、同時に三菱ファンの心を惹きつける部分だ。
ただし、唯一にして最大の弱点も見つかった。エクリプスクロスのディーゼルモデルにはデリカD:5のディーゼルモデルと同じ「4N14型」エンジンが搭載される。力強い最大トルク値を発揮する一方で、3500回転を過ぎたあたりで急激に加速度がダウンする傾向にある。弱点は、そのダウンする勢いが急激に感じられるところ。逆の見方をすれば、低回転域から立ち上がるトルクが急激である、ともいえる。
試乗会場にはデリカD:5のディーゼルモデルも用意されていたので比較走行を行ってみた。すると、デリカD:5のディーゼルモデルはエクリプスクロスのディーゼルモデルとのベースグレード比較で270kg車両重量がかさむことから、同じトルクカーブを描くエンジン特性であっても低回転域からのトルク上昇はずいぶんと穏やかで、筆者にはこちらの特性がいいと感じられた。この点について、事実確認すべく三菱自動車の技術者に伺ってみた。
「ここは開発時の課題でした。排出ガスをクリーンに保ちながら走行性能を両立させることは非常に難題ですが、さらによい性能となるよう前向きに技術開発を継続します」と真摯にお答えいただいた。
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