ディーゼルエンジンの魅力は読者の皆さんもご存じの通り、排気量に対して低いエンジン回転域でのトルク値が大きいため運転がしやすく、車両重量のかさみやすいSUVモデルとの相性もいいこと。加えて、高速走行時の巡航燃費数値が伸びることから距離を重ねるユーザーであればランニングコスト面でも有利になる。
もっとも、車両価格はガソリンモデルよりも高価になるため導入コストは高くつく。エクリプスクロスの場合、ガソリンエンジンの同一グレードと比較すると、車両本体価格は約30万円ディーゼルモデルが高い。ただ、これにはれっきとしたわけがある。その代表例が排出ガスの後処理システムの必要性だ。
各国各地域に合わせて対応策を講じる
ご存じのように、排出ガスにはその成分ごとに規制値が設けられている。よって日本のみならず、各国各地域の規制に合わせて対応策を講じなければならない。
ディーゼルエンジンから排出されるガスのうち二大成分と呼ばれるのがNOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)で、これを効果的に除去するにはNOxには「SCR(セレクティブキャタリスティックリダクション)システム」が、PMには「DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)システム」と呼ばれる後処理システムがそれぞれ不可欠だ。エクリプスクロスのディーゼルモデルは2つの後処理システムを搭載する。
SCRシステム働きは、排出ガスに含まれるNOx(NOとNO2)と、マフラー内に添加される尿素水の加水分解から生成された2NH3(アンモニア)を化学反応させることによって、NOxをN2(窒素)とH2O(水)に分解し無害化する働きがある。
DPFシステムの働きは、排気温度によって大きく2つに別れる。排気温度が高い場合は、排出ガスに含まれるNO(一酸化窒素)を前段酸化触媒で酸化させることで非常に強い酸化力をもったNO2(二酸化窒素)を生成させ、そこで得たNO2をPMと反応させることでPMが燃焼し除去される(「DPFの連続再生」)。
反対に、排気温度が低い場合、たとえば低速走行や渋滞が続くと、前述したDPFの連続再生が追いつかない。そこで酸化できなかったPMに関しては、SiC(炭化ケイ素)フィルターで一旦捕集し、その量が一定レベルに達した時点でエンジン制御などにより排気温度を上昇(=燃焼)させることでフィルターのクリーニングを行う(「DPFの強制再生制御」)。
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