三菱自動車、雪上で感じた「制御技術」のすごさ 30年以上実装してきた制御技術を体感した

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三菱自動車のコンパクトSUV「エクリプスクロス」(写真:三菱自動車)

まず、コンパクトSUVのエクリプスクロスでクローズドコースに出る。制御のアルゴリズムを変更するドライブモードはオート/スノー/グラベルの3つから走行中であっても任意のモード切り替えが可能。乾燥舗装路、濡れた路面、雪道、不整地路とあらゆるシーンで最適な制御を施すオートモードではASC(アクティブスタビリティコントロール)もONのままで走らせる。路面は乾燥路面の2~5倍程度滑りやすくなる積雪路面ながら、オートモードではカーブの進入時にしっかり減速してさえいれば、さほど大きく外側へとふくらむことなく走行する。

また、S-AWCの前/後輪間のトルク配分機能のうち、後輪への駆動力が最も大きくなるグラベルモードではASCをOFFにするとご覧のようなドリフト状態を保ったままカーブを走り切る。これがいとも簡単に行えてしまうのは、S-AWCが目指した車両運動統合制御システムのおかげだ。

アウトランダーPHEVでは前後に駆動モーターを搭載していることから、さらにアグレッシブな4輪制御が可能。ちなみに前後のモーターの駆動力配分は、前後方向のGと、横方向のGの配分で決められている。

現行モデルに追加された「スノーモード」と「スポーツモード」のうち、今回のような雪上ではスノーモードが最適だった。モーターの出力特性を穏やかにしつつ、タイヤのスリップやカーブで外にふくらみかける動きを早期に検知して抑えにかかる制御を介入させている。

新型デリカD:5に試乗する機会も

この雪上試乗会では山谷を設けたもう1つのクローズドコースがあり、そこでは大幅なマイナーチェンジを行ったデリカD:5の試乗も行った。外観デザインの大きな変更とならび、搭載している2.2Lディーゼルエンジンも大幅改良を受けた。トランスミッションも6→8速化し、車内デザインも大きく進化している。

雪上試乗会では「デリカD:5」急傾斜の坂を登る機会もあった(写真:三菱自動車)

試乗は発売前でクローズドコースのみだったが新旧デリカD:5の乗り比べも行えた。新たに採用された電動パワーステアリングによって、従来型(ガソリンエンジン搭載車は従来型の改良版で継続販売)の弱点であったステアリングの重さも解消され使いやすさも大きく向上している。新型D:5ではこの先に公道試乗が控えているので、詳細はそちらで報告したい。

座学、試乗と通じて三菱自動車が30年以上にわたって実装してきた4輪制御技術のいくつかを体感することができたわけだが、澤瀬さんのいう「ドライバー操作に対するクルマの反応時間が同じであることを制御の基本ポリシー」とする設計思想には強くひきつけられた。

これに近い事例として、例えば現行のマツダ車ではアクセルペダルを踏み込んだ際に発生する加速度を、速度域によらず約0.3秒に設定している。これにより加速に対して頭部を支える首の筋肉がスムースに動き、ドライバーは意のままの加速が行えたと認識するのだという。

技術の進化はとどまることを知らないというが、少なくとも人がドライバーを務めるSAEレベル3以下の状態では、進化の方向性を決めるその筆頭は人の感性なのではないか。速さという物理的な限界点の追求とは違う、こうした人に寄り添う技術進化も興味深い。

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