「熱中症予防」気温だけに着目すると危ない理由

湿度が高いと気温30℃程度でも油断できない

この夏の特徴は、日中だけでなく朝や夜の気温も高いことです。東京では7月26日以降、最低気温25℃以上の熱帯夜が続いています(8月15日現在)。20日以上も熱帯夜が続くのは、2010年以来9年ぶりです。7月30日の札幌の最低気温は27.4℃で観測史上最も高い記録を更新しました。朝や夜も気温が下がらない理由の1つは、湿度の高さです。湿った空気は雲のもとになるため、夜から朝にかけて雲が広がって放射冷却を弱め、最低気温が下がりにくくなっています。

気温だけじゃなく湿度にも注意

暑さというと気温を思い浮かべ、「暑い=気温が高い」と思いがちですが、もう1つ無視できない要素があります。それは、湿度です。

今年の夏は、気温だけでなく湿度も高いという特徴があります。その要因の1つは、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱く、高気圧の周辺をまわって海から湿った空気が流れ込みやすいことです。また、台風が日本付近に北上すると、湿った空気が流れ込んで湿度が高くなります。

太平洋側の空気の流れ(出所)筆者作成

湿度が高いことによって、体が感じる温度=「体感温度」が高くなります。私たちの体は暑いと冷やすために汗をかきますが、湿度が高いと汗が蒸発しづらいので、気化熱で体温を下げるのを妨げます。体温調節がうまくできなくなるため、同じ気温でも湿度が低い日と比較して熱中症のリスクが高まるのです。

8年前となりますが2011年7月6日と同9日のデータがそれを示しています。東京の最高気温は両日ともに32. 5℃でしたが、熱中症搬送者数を見ると同6日が50人だったのに対し、同9日は94人と約2倍の差がありました。この2日間の気象条件の違いが湿度。最小湿度は同6日が41%、同9日が56%だったのです。

また昨年、梅雨明けした後の東京の気温、湿度、熱中症搬送者数を振り返ると、2018年7月7日は最高気温29.6℃、最小湿度69%で救急搬送者数89人、7月23日は最高気温が39.0℃ありましたが最小湿度は32%で救急搬送者数は15人でした。これらは、熱中症を引き起こす要因として、湿度という要素が無視できないことを示しています。

熱中症を予防するために気温だけでなく湿度にも着目した「暑さ指数」をご存じでしょうか。

暑さ指数(WBGT)は、熱中症を未然に防ぐことを主な目的とした指標です。1954年に軍隊訓練の際の熱中症リスクを事前に判断するためにアメリカで提唱され、1982年にはISO(国際標準化機構)により国際基準として位置づけられました。現在は、労働環境や運動環境の指針として有効であると認められて、国際的に規格化されています。

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