日本と真逆、英名門校の知られざる教育の中身

エリート輩出校の誰の目にも見える「賞と罰」

学年末が近い5月末の土曜日には学校最大の行事スピーチ・デーが開かれる。日本にこれに相当する行事がないので説明が難しいが、生徒の業績表彰、スポーツ大会、懇親会、美術展示会、コンサートが一緒になったような行事で、家族を迎え朝から夕方まで学校は華やかな雰囲気に包まれる。この行事では多種多様な賞が大勢の生徒に授与される。

スピーチ・デーの様子。学校は人でごった返す

賞の種類は低学年がそれぞれ約40種、高学年が50種以上で、すべての賞の種類は250種を超える。生徒を評価するものさしが多いことに、驚きを禁じえない。

受賞者が複数人いる賞も多数ある。7~8種もの賞を1人で授かる生徒が全校で5~6人見られる。受賞者はたいてい図書券などのギフトをもらえる。

賞は学校からのほか、企業、卒業生の会、教育基金や慈善団体、篤志家から授与されるものまで多岐に渡る。学校からは、各学年それぞれの教科で年間を通して最も優秀な成績を収めた生徒に与える賞や、校長からの特別賞などがある。

「罰を受ける生徒」を掲示

生徒を褒めてばかりいるわけではなく、罰するときは容赦ない。生徒が朝・昼・晩に足を運ぶ食堂は学校のほぼ中央に位置する。その入り口までは回廊が通じ、壁一面がガラスケースの掲示板になっている。

そこに校長からのお知らせや、各スポーツチームの試合成績、写真などが貼り出され、生徒たちは食堂への行き来の際、目をとめていく。そのいちばん目立つ部分に、「デテンション(Detention)」と書かれた紙が貼ってある。紙にはこのように書かれている。

スミス・ジャック 授業中居眠り ホワイト先生 1時間の居残り授業
ホームズ・ジョン 宿題未提出(2度目) ディーコン先生 2時間の居残り授業
ネビル・マーク 15分以上遅刻 アダムス先生 1時間の居残り授業
ダグラス・トビー カンニング メイ先生 2時間の居残り授業
(※苗字・名前の順に書かれている、仮名)

デテンションとは学業を怠けたり、不正行為を働いたりしたために、授業以外の時間に拘束され勉強を課されるという罰である。毎週明けに、その週に罰を受ける生徒の名前とその罰を与えた教員名、罰の理由が上記のように一覧になって公表される。

罰を受ける生徒のお知らせがこのように目立つ場所に貼られ、全校生徒・教職員の目にさらされるということに私は大きなショックを受けた。日本の学校ではこのような掲示を見たことがなかった。しかもこの紙は保護者会が催されるときもはがされない。表彰も可視的なら罰も同じように視覚化されているのだ。

デテンションは軽度のものなら平日の夕食前に行われる。本来はスポーツや芸術活動に打ち込むか、休憩をしている時間である。カンニングやレポートの丸写しなどの悪質な行為に対する重いデテンションは土曜日の夜に課される。土曜日の夜には寮の娯楽に参加したり、教員や寮母と一緒に外食したりすることができるが、デテンションを課されると担当教員の監視のもと、1人で居残り勉強をしなくてはならない。

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