日本と真逆、英名門校の知られざる教育の中身 エリート輩出校の誰の目にも見える「賞と罰」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
イギリスのパブリック・スクールの秘密に迫ります(写真:samot/PIXTA)
歴代首相からノーベル賞受賞者、ベネディクト・カンバーバッチ氏やエディ・レッドメイン氏などの世界的俳優まで輩出するイギリスのパブリック・スクール。その名門ハーロウ校に2014年から勤務した松原直美氏は、最高の教育現場を目撃しました。学費と寮費だけで年間約600万円にもなる私立中高一貫校の教育は、いったいどんなものなのでしょうか。松原氏の新著『英国名門校の流儀 一流の人材をどう育てるか』を一部抜粋してご紹介します。

生徒手帳を目にした衝撃

イギリスにはパブリック・スクールと呼ばれる私立中高一貫校がある。それらのうち数百年の歴史を紡ぐとくに有名な学校群には世界中から生徒が集まり、社会的に影響力を持つ卒業生を輩出している。国内外の政界をはじめ、法曹界、経済界、軍隊、芸術界、芸能界、スポーツ界、医学界、航空宇宙分野まで、あらゆる分野におけるパブリック・スクール出身者の活躍は論をまたない。

なぜこの学校群の卒業生は社会で活躍できるのか。リーダーの育成に必要なものはなにか。

ロンドン郊外のハーロウ校(Harrow School)という男子全寮制パブリック・スクールにて私は2014年から2018年まで、選択科目である日本語の教員として働いていた。教師として過ごした4年間は毎日が目まぐるしく、新鮮な驚きの連続だった。なぜなら同校で行われている教育は日本のそれとは著しく違うものだったからである。

最初の驚きは、雇用契約にサインをしたあと手渡された生徒手帳を見たときに訪れた。この冊子には日本の生徒手帳とは違い、全校生徒ならびに教職員の名簿、学期ごとの毎日の行事予定が細かく記載されている。目を引いたのは次のように書かれた生徒の名簿だった。

コリンズ・マイケル/ディーコン・ジェームズ 音楽奨学生/イーズ・ヒュー 学業奨学生・音楽奨学生/フレミング・ポール/ギャラハー・チャーリー 技能奨学生
(※苗字・名前の順に書かれている、仮名)

驚いた理由は、アルファベット順に並んだ生徒の氏名に続けて奨学生と記された生徒が散見されたからである。

次ページ「奨学生=親の負担を軽くする」ではない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事