甲子園投手の球数を分析してわかる異常な事実 米国のピッチスマートで投球制限数を試算

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ピッチスマートでは、17―18歳の場合、1日の投球数は最大105球。これに加えて、81球以上投げた場合は中4日以上の休養を設けなければならない。例えば、ある投手が甲子園で120球を2日連続で投げたとする。まず1日目は105球制限にかかるため、差し引き15球が1日あたり投球数制限に抵触。2日目の120球は丸ごと休養日制限に抵触する。このような計算方法で、各選手の試合別投球数から投球制限を試算した。

15―18歳の1日あたり投球数制限・休養日制限(ピッチスマートのウェブサイトより)

「制限内」は必ずしも「投げてもよい」ではない

この試算はあくまでも1日投球数と休養日の制限を適用したものであるため、白で示した「制限内」の球数が必ずしも「投げてもよい」分でないことには注意が必要だ。例えば先に挙げたピッチスマートの年間100イニング制限などは考慮していない。

また済美の安樂智大投手(2013年・春)と前橋育英の高橋光成投手(2013年・夏)は大会当時16歳だったため、ピッチスマートの投球数制限も15―16歳向けを適用している。

インフォグラフィックを見ると、いずれの投手も「過剰」な投球、つまりピッチスマートを適用した場合の制限を超える投球をしていることがわかる。

「そもそも投球数は過剰ではない」とする意見も一部では報じられているが、少なくともピッチスマートの試算を当てはめて考えると、甲子園投手たち、とくに決勝に進出した投手たちが健康被害を受けうる基準を大幅に超過して登板していることは明らかだ。

2000年以降、大会通算投球数が最も多かったのは早稲田実業の斎藤佑樹投手(2006年・夏)。同じく2006年の駒大苫小牧・田中将大投手と決勝で壮絶な投げ合いを見せ、斎藤投手は決勝再試合も含めて7試合、948球をほぼ1人で投げ抜いた。

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