谷中のお寺が「幽霊イベント」を開催するワケ 漫画をきっかけに落語の人気が高まっている
ある参加者は「小さい子どもがいるので、普段はなかなか落語には行けない。子どもがいくつになったら連れて行ってよいか」と質問。
それに対し馬玉氏は、「やはり、聞いていられる年になってからでないと子どもがかわいそう。また最近はお寺で落語会をすることも増えていて、お寺なら子どもと一緒に行けるところも多いのでは」と回答していた。
今回のイベントを企画したエピファニーワークスによると、馬玉氏の言葉通り、寺での落語は大変増えているという。
「そもそも落語のルーツはお寺なんです。お坊さんがお釈迦様の話を伝える法話に、一般の人に興味を持ってもらえるよう面白さを加えていった。その部分を抜き出したものが落語になりました。
それ以外にも、コンサートやマルシェなどを開いているお寺もあります。一般の人との接点を広げる取り組みに力を入れているんです。今の30〜40代の住職さんはみんな本当にユニークですし、お寺業界は非常に盛り上がっています」(エピファニーワークス代表取締役の林口砂里氏)
お寺はお金を得るためというよりは、人々の興味をお寺に引き寄せたいという思いがある。そこに、さまざまなイベントのアイデアを提供し、実際の運営を担当しているのが、エピファニーワークスなどの企画会社だ。同社は富山にある全生庵の本山・国泰寺と縁があり、今回のイベントを担当することになったそうだ。
サインを求めるファンが予想以上に多く、予定時間を大幅に延長して行われたサイン会の終了後に、雲田氏にインタビューする機会を得た。
ブームでなく、文化として続いていってほしい
今回のイベントについては、「とてもよい機会だった。声をかけてもらわないと、なかなかこうしたイベントには参加できない。幽霊画、落語、漫画それぞれを目当てにしているお客様が混ざる感じがあって、とても面白いイベントだった」と感じているそうだ。
また、雲田氏の漫画をきっかけに落語の人気が高まっていることについては、「寄席が栄えてほしい、という思いから作品を描いた。漫画を描いた2015年当時は、落語ブームといっても有名な人の独演会などにはお客さんが入るけれど、寄席に足を運ぶ人は少なかった。
でも今は寄席にもお客さんが来て、落語協会にも『高止まりの状況』と聞いている。本当にうれしい。ブームでなく、文化として続いていってほしいし、そのようになっているのを感じる」とのことだ。
幽霊画の公開は8月31日までで、24日には「怪談師」の牛抱せん夏氏と上間月貴氏による「掛け合いばなし『死神』」が行われる。なお。幽霊画については、従来のものに加え、一昨年、90年振りに再発見された圓朝による収集画1幅も公開されている。
落語は今や、漫画やドラマだけでなく、銭湯や居酒屋などでミニ公演が行われるなど、身近な存在となりつつある。また、今回のように、漫画の人気にあやかって「死神」などを演じる公演も増えているようだ。圓朝の生誕180年にあたるこの年、ちょっと寄席に足を運んでみるのもよいのではないだろうか。
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