この連載では何度か書いているように、私は長時間労働すべてを否定しているわけではありません。職種や時期などによって、長時間頑張ることが必要なこともあると思うのです。
そして、実はオランダでも残業がまったくないわけではありません。日本に比べてかなり少ないとはいえ、タスクに合わせて残業する人もいるそう。ただし、法律で週の労働時間規制があるので残業をしたときは別日で調整できるし、ライフスタイルの変化に合わせて働き方を変えやすい。とにかく、フレキシブルに働ける。
ちなみに、オランダでは、週に数日の自宅勤務を企業側からすすめられることもよくあるそう。残業が少ないうえに、自宅勤務もできる。こう聞くと労働者にとっては天国のようですが、企業側にとってもメリットがしっかりあります。
社員が会社にいる時間が短くなれば、光熱費が削減できる。長時間労働しないほうが、社員は心身共に健康で、生産性は上がり、病気の社員のケアに追われることもない。そこに予算を取られることもない。オランダ人は合理的ゆえに、そんなふうに考えるそうなのです。
働き方そのものから見直しを
一方、日本は「体裁を整えるため」「慣習だから」やっている仕事も多い国。そして生産性よりも労働時間が重視されがちです。その非合理さのシワ寄せは、労働者本人の心身の疲労と家庭の負担へとストレートにつながります。
ところで、最近は日本でも「男性の育休」など労働者の権利を主張する人が増えてきました。それ自体はとてもいいことです。でもそこだけが加速して、仕事の責務があいまいなまま権利だけ主張する人が増えないといいな、とも私は思っています。そうなると、結局、その会社の誰かにシワ寄せがいくだけだからです。とくに中間管理職は板挟みになって心身を病む人が増えるのではないでしょうか。
会社の経営者は、いろんな働き方をする人がいても会社がまわる、誰かにシワ寄せがいかないようなシステムを作る。労働者は、短時間でもタスクが終わるように、仕事のやりかたを見直していく。権利を主張するかわりにタスクに責任を持つ。それは、疲れない家族をつくるためにすごく大事なことだ、と今回の取材を通して改めて考えさせられたのでした。
日本でも、2020年度以降から「同一労働同一賃金」が導入され、正社員と非正規社員の格差をなくそうという動きが始まります。どういう形で実行されるのがベストなのか、もしかしたらその参考になるものがオランダにあるのかもしれません。
というわけで、今回学んだつかれない家族になるヒントは……
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