東京五輪で建設した競技場はその後どうなる? アスリートも都民も使える後利用が重要だ
2017年4月に東京都が公表した「新規恒久施設の施設運営計画」を見ると、上記6施設のうち、有明アリーナは年間収支見込(試算)が3億5600万円のプラスとなっている。
だが、東京アクアティクスセンターで6億3800万円、海の森水上競技場で1億5800万円、カヌー・スラロームセンターで1億8600万円というマイナス収支(試算)が見込まれているのだ。
振り返れば、1998年長野冬季五輪・パラでもボブスレー・リュージュ・スケルトン会場だった長野市ボブスレー・リュージュパーク(愛称=スパイラル)が20年後の2017年末に製氷を断念し、事実上の休止に追い込まれたことがあっただけに、同じような事態に陥らないための努力と工夫が強く求められるのだ。
リオ五輪・パラでは運営管理者問題が浮上
東京都オリンピック・パラリンピック準備局の鈴木研二開設準備担当部長は「少しでも稼働率を高め、収入を引き上げるべく、すべての施設に指定管理者制度を導入し、効率的な運営を考えていくことにしています」と言う。
2016年リオデジャネイロ五輪・パラでも各施設の運営管理者が決まらず、誰がコスト負担をするのかが曖昧になったことで、後利用がうまくいかなかったという実例がある。その反省を踏まえて全施設の指定管理者をいち早く決定。彼らと協力しながら「アスリートファースト」と「都民ファースト」の2本柱を実現させていく構えだ。
長野のスパイラルの場合はナショナルトレーニングセンター(NTC)の指定を受けていたため、競技者優先の運営になり、一般市民の取り込みやレジャー施設化がうまくいかず、休止を余儀なくされている。
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