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シンクタンクがこれからの日本に必要な理由 三浦瑠麗「戦間期的な危うさを感じる」

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  • 船橋 洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長
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三浦:野党の政策立案を見ると残念だなと思うのは、外部のエコノミストの知見が入っていないことです。官僚の知見を活用できる政府も、十分に民間の専門家を活用できていません。これは損失だと思います。アメリカではオバマ大統領が規制改革を実施したとき、OIRA(情報・規制問題室)のトップとして実行役を担ったのはハーバードの学者キャス・サンスティーンでした。

日本では統計不正が問題になりましたよね。あれは人材不足が大きな原因であったと言われています。独立性の高い機関にそういう人材を入れ、最先端の手法を導入すれば、全然違うのではないかと思います。私たちの世代の研究者には、1年や2年の期限付きで政府で働いてもいいという意識を持っている人は多いと思います。多少給料は下がっても、面白い経験ができるし、民間に戻ったときにも重要なアピールポイントになります。

まずは、政府が得意でない女性や子供に関する政策と、成長戦略で外部人材を活用することだと思います。まず、小さなことからでも始めて、小さなプロジェクトが上手くいったら、その手法は広がっていくのではないでしょうか。

船橋:民間も待っているだけではなく、そういうかたちで仕掛けていかなきゃだめですね。

福島原発事故のときは国が滅びるかと思った

三浦:今日は、私のほうからも先生にいろいろお伺いしたいことがあります。海外の友人によく日本のシンクタンクについて質問されます。企業の研究所を除けば、純粋な意味での独立性の高いシンクタンクは、船橋先生のところ一つしかないと説明しています。

以前、朝日新聞におられたときには、日本で初めてのクオリティ・ペーパーをつくりたいと言われていましたが、そこからなぜシンクタンク設立に向かわれたのでしょう。

船橋:福島の原発事故が最も大きな理由です。ものすごくショックを受けました。あのときはほんとうに国が滅びるのではないかと思いました。

僕はあのとき官邸にも経産省にも防衛省・自衛隊にもかなりの情報源がありました。トップも知っていました。3月14日ぐらいまで必死に情報を集めましたが、要するに何が真実なのか、リアルタイムでほとんどつかめなかった。そのとき、投資会社を経営する若い友人がいたのですが、彼は、東大(当時)の早野龍五さん(原子物理学者)が発信するブログを必死に読んでいました。そういう人はほかにもいました。彼らのほうが僕なんかよりよほど現実を見ていて、危機感もあって、家族を大阪のほうに避難させたりしていました。

なんなんだこれは、と思いました。記者として日本のエスタブリッシュメントの最も深いところに情報源を持っていると自負していたのに、いざっていうときにそのようなものはほとんど役にも立たず、僕はただただ不確かな情報の渦の中で空転していました。

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【“戦場の霧”ならぬ“危機の霧”のようなもの】

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