深夜ドラマがNetflixと手を組む納得事情 振り込め詐欺の現実をドラマ化した「スカム」

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地上波深夜ドラマでNetflix独占配信中の「スカム」は、振り込め詐欺をテーマにしている。写真中央は主演の杉野遥亮(写真:©「スカム」製作委員会・MBS)
Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

定番のテーマが並び、制作費は削られる一方の地上波テレビドラマの中で、攻めた作品を作り出すにはネット配信とのタッグも1つの手。夏の地上波連続ドラマに並ぶ「スカム」もそんな形で作られた作品で、MBS/TBS深夜ドラマ枠とNetflixの同時展開を実現しています。

「振り込め詐欺」を題材に、深夜ドラマながらのスケール感も見せながら、若者たちの転落の姿を描いています。

「面白いけど怖い」、詐欺師が主役のドラマ

タイトルの「スカム」は「SCAM=詐欺」や「SCUM=人間のクズ」を意味します。ダークなイメージそのままに、犯罪累計被害総額5000億円とも言われる「オレオレ詐欺」の詐欺師を主人公にした極悪な世界を描いています。

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アウトローが主役のドラマと言えば、キャラクターのカリスマ性の高さが魅力の「闇金ウシジマくん」(MBS制作、山田孝之主演)や、人をだまして金を奪うという基本設定こそ同じの「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ制作、長澤まさみ主演)などのヒットドラマがありますが、「スカム」は華やかさや痛快さとは無縁。

等身大の若者が犯罪者へ身を堕としていき、実社会で現実的にありうるリアルな恐ろしさを追求しています。SNS上では「面白いけど怖い」という評価が並びます。

それもそのはず。「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、社会の裏側で生きる若者の実態を取材するルポライター、鈴木大介氏著書の『老人喰い』が原案です。高齢者を狙う詐欺を「老人喰い」と称し、どのような若者たちが詐欺に走り、どのような手口で高齢者をだましているのか。そんな実態を容赦なく書きつづった原案を基に、実写ドラマ化しています。

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