エコカー減税目前に自動車販社の苦境、新税制4月導入の波紋

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現実味帯びるディーラー倒産

新税制導入による買い控えが起これば、より深刻な影響を受けるのがディーラーである。ディーラーにとって毎年2月、3月は、入学や入社を控え、1年の約4分の1を売り上げるビッグシーズン。だが今年ばかりは様子が異なる。09年1月の新車販売台数は、前年同月比28%減と37年ぶりの低水準。軽自動車を含めた販売台数も20%減と、6カ月連続で前年を下回っている。

ディーラーはメーカーから車を仕入れ、販売してから1~3カ月後に仕入れ代金を支払うのが一般的。月を追うごとに販売が減少する局面では、過去の販売分の支払い代金がのしかかり、資金繰りは一気に悪化する。この年度末はディーラーにとって生死を分ける剣が峰といえる。

こうした状況下、昨年9月には日産の石川県販売代理店である日産サティオ石川が民事再生法を適用。さる1月下旬には、函館三菱自動車販売が破産した。後者はかつて道南の有力ディーラーの一つに挙げられたが、三菱自動車のリコール隠し問題で失速、さらに昨年の原油高と自動車不況とがダメ押しとなった。

幸い、ディーラー破綻はまだ一部にとどまっている。米国ディーラーが店頭に実車をずらりと並べて売る

“青空販売方式”を採るのに対し、日本のディーラーは受注販売方式が多く、在庫負担が軽い。倒産リスクは比較的低いはずだ。

だが歴史的な自動車不況は、こうした常識も覆そうとしている。「大変なのはむしろこれから。3月の売り上げ次第では4月の銀行融資枠が減るかもしれないし、金利を上げられるかもしれない」(前出ディーラー)。ある大手ディーラー社長は、ささやかれる業界の“3月危機”を避けようと、政府への期待を口にする。「エコカー減税は国会を通過したら4月といわず前倒しで実施してほしい。そうすれば販売店は3月期決算を乗り切れる」。

新車購入のカンフル剤として打ち出されたエコカー減税だが、現状のままでは危機を助長する“悪法”ともなりかねない。ディーラー破綻は即、メーカーに波及する。消費がぱたりと止まった不気味な静けさの中、運命の期末を迎えようとしている。

(撮影:代 友尋)

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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