本田:男性は女性よりも専門領域と仕事が関連していて、しかもそれが賃金につながっています。つまり、女性は「この人は何ができる人なのか」ということを正当に評価してもらえていない。配置としては圧倒的に事務系が多いです。
「統計的差別」「無意識の偏見」はいまだ根強い
中野:「女性は過去に辞めてしまう確率が高かったから」と期待をかけない、成長機会を与えないなどの「統計的差別」や、誰にでもバイアスが存在し女性や人種マイノリティの採用や昇進に不利に働く「無意識の偏見」の存在などが指摘されています。そういった理由で女性だからという理由で特定の業務に置かれやすいということですかね。
今の話は正社員女性の話ですが、企業内で女性が正当に評価されていないことは、公平性の観点から是正されていくべきだと思います。
他方で、世界的に高学歴の人が同じく高学歴の人と大学や職場で出会って結婚するといった、同類婚傾向もありますよね。今議論していた企業内の正社員の男女格差の問題解決をすると、高学歴・正社員同士の夫婦は非常に収入面で恵まれていくことになる。
夫婦の年収がそれぞれ700万円以上のパワーカップルと、そうではないウィークカップル、あるいは共働きではない専業主婦世帯との経済面での差は開きます。だからといって高学歴女性の問題を解決しないでいいということにはならないとは思うのですが、こうした格差の問題にはどう取り組んだらいいでしょうか。
本田:理想論としては、男性稼ぎ主規範が消えるなどで同類婚など既存の傾向とは異なる多様な結婚が増える可能性がありますし、あるいは男性がややキャリアを降りるような形でオランダモデル(男女ともにワークシェアリングをして、共働きによって片働きの2倍にはならないけれど1.5倍にはなる)といった考え方もありうると思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら