「日経平均は9月までに1万6000円へ」の現実味 ようやく市場は「正常化」へ向かい始めた

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あと2つ、アメリカの株高を支えていた過度の楽観要因があったと考えている。それは「金融緩和期待」と「米中通商交渉進展期待」だ。

ジェローム・パウエル連銀議長は、すでに今年の初めころから、近いうちに利上げ停止ないし緩和を検討する姿勢を示していた。そこで1度だけ、株式市場が緩和を好感して上昇したのであれば理解できるが、そこから毎度毎度「緩和期待、緩和期待」と念仏のように繰り返されながら株価指数が上がり続けたのは、不可解だ。

ただ、こうして「緩和期待」を出がらしのように使い続けて株価が上昇を継続したのは、さすがに少し前から賞味期限切れになる様相を示し始めていた。具体的には、アメリカのことではないが、7月25日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会で、将来の緩和に前向きな姿勢が示された直後、主要国の株価の初期反応は「下落」だった。

そこから類推すれば、7月30日(火)~31日(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)で、0.25%の利下げを受けてアメリカの株価が下落したのは、よく言われていたような「0.50%の利下げでなくて失望した」「その先積極的に利下げを続けるような姿勢が打ち出されずに期待が剥落した」という解説ではなく、「繰り返し緩和期待を株高の背景要因として使ってきたが、さすがにそれに無理が生じた」という解釈の方が正しいと考える。これも過度の楽観が剥げ落ちたという、「正常化」の始まりと言える。

そもそも、なぜ主要国の中央銀行が緩和方向に舵を切ったかと言えば、景気が悪化している、あるいは少なくとも悪化のリスクが高まっているからであって、「景気が悪化しても株は買いだ」、という発想自体に元々無理があっただろう。

米中通商交渉も過度の楽観が剥落しはじめた

もう1つの過度の楽観要因であった、「米中通商交渉進展期待」については、やはり市場は「交渉がうまくいかないかもしれない」、という不安要素にはつい最近まで目をつぶり「うまくいきそうだ」、という点ばかりをもてはやして株価が上昇していた。

たとえば6月の大阪でのG20首脳会合時に設定された米中首脳会談では、会談直後に、ドナルド・トランプ大統領が「しばらく3000億ドル分の対中輸入についての追加関税は発動しない」「中国がアメリカの農産物を大量に買うと約束した」「ファーウエイ社に対する米国企業からの輸出規制は緩和方向で見直す」と発言し、主要国の株価は上振れした。

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