古舘伊知郎が説く仕事で活きる「凝縮ワード」 40年超考え抜いた「言葉の世界」で見えたもの

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「すごいですね!」「いいですよ!」では、上から目線感が出てしまうが、昨今市民権を得た「控えめに言って」という言い回しには、自分が1歩下がることで、相手を1段上げるという効果があるそうだ。つまり、「私なんかが言うのもなんですが」という謙遜と、手放しの賞賛が凝縮されているのだ。

しかも、この短いフレーズの中には、もう1つの深い意味が隠されていることにお気づきだろうか? それは、「控えめに言って」と先回りしているということ。つまり、「最高ですよ!」と言い切る自信がないから「控えめに言って」という鎧をつけてガチガチに身を守っているのである。

二者択一を迫られがち

「え、どこが最高だった?」と後から突っ込まれて面倒なことにならないよう、「もし、最高じゃなかったとしても、後からいろいろ言わないでね。“控えめに言ったにすぎない”んだから」と、曖昧にするテクニックでもあるわけだ。

古舘伊知郎(ふるたち いちろう) /フリーアナウンサー。立教大学卒業後、1977年テレビ朝日にアナウンサーとして入社。「古舘節」と形容されたプロレス実況は絶大な人気を誇った。F1などでもムーブメントを巻き起こし「実況=古舘」のイメージを確立。3年連続「NHK紅白歌合戦」の司会を務めるなど、司会者としても異彩を放ち、NHK+民放全局でレギュラー番組の看板を担った。その後、テレビ朝日「報道ステーション」で12年間キャスターを務め、現在、再び自由なしゃべり手となる

最近はやりの「かも」も、同じ意味合いとして使えるという。「ここのココナッツミルクカレー、おいしいんだよ。どう?」と言われて一口食べたものの、ココナッツミルクカレーなんてほとんど食べたことがないし、おいしいかなんてよくわからない……。

でも、「わからない」なんて言ったら、「そんなことも決められないのか」と思われそう。「逃げやがって」と思われるのもイヤだな。そんなときに使えるのは「おいしいかも~」というのが古舘流のテクニック。“かも”で霞をかければ防御できる。「これ好きかも~」「あ、似合うかも~」などにも応用可能だ。

現代の情報化社会では、つねに、二者択一を迫られがち。好きか嫌いか、おいしいかまずいか、正しいか間違っているか。そうした選択肢を突きつけられたときに、とっさの“すり抜け”「凝縮ワード」をストックしておくと安心だろう。

会話が盛り上がる「相づち力」

上司に叱責された同僚が、「俺って、頑固なのかなあ?」と傷ついている場合、あなたなら、どう対応するだろうか? 「いやいや、柔軟性はあると思うよ」とフォローするのか、「(上司が)そこまで言う必要ないよな」とひたすら同調するのか……。

いろいろな対応があるなかで、古舘が勧めるのは「相手の話を全面的に聞く。聞いて、聞いて、聞き切る」ということ。

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