古舘伊知郎が説く仕事で活きる「凝縮ワード」 40年超考え抜いた「言葉の世界」で見えたもの
このときの鉄則は、相づちを極力少なくすること。つまり、心の中の「うん……うん?」という静かな相づちこそが、この場合の「凝縮ワード」というわけである。
ビジネスシーンで、ベテラン営業マンが相手の話に「ええ、ええ、えっ、ええ、ええ」と連呼する姿を見かける人は多いはずだが、あれは相手に媚びている、あるいは優位に立ちたいからこそ。つまり、本来ならば余計な音というわけだ。
しかし、相手に「聞いているよ」という意思表示はしたい。そのためには、ときどき相づち代わりに首を縦に「うん」と振る、あるいはごくたまに小さく「うん」という程度が望ましいという。
聞く力を格段に高める方法
古舘が「相づちの天才」と言うのが関口宏氏だ。その「うん」のお手本となるという。「サンデーモーニング」での進行を思い出してほしい。
「うん……?」
「うん……。そう……かな?」
関口氏の相づちは、誰かの意見を聞いていることを示すものではなく、誰かの意見に対する自身の反応を「うん」という一言でボソッと表現しているのだ。
「ん?」の語尾が上がることで確認や疑問の意を示したり、強めに「ん?」を言ったりするときは異論を唱えるなど、豊かなバリエーションを持っている。
「人の話より、自分の話」になりがちな人は、まず相手の話を聞く。次いで、うなずいてほしいところだけ、適宜、うなずく。これらを徹底させるだけでも、聞く力は格段に高まるだろう。
ここで紹介したのは「凝縮ワード」のごくごく一部にすぎない。
「あいつに言い返してやりたいとき」
「言いにくいことを、あえて言わなければならないとき」
「この感動をどうにか伝えたいとき」
これら人間関係にまつわるさまざまなシーンの中で、「言葉は凝縮するほど、強くなる」という真理にたどり着いた、古舘伊知郎渾身の「凝縮ワード」を使うことで、きっと、今よりコミュニケーションが楽しく、円滑になることだろう。
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