「A4雌牛」の焼肉チェーンがじわじわ伸びたワケ うたい文句は「コスパ日本一の焼き肉専門店」
なお、焼き肉のチェーンでは、店舗数トップは牛角で約620店舗。2位以下は焼肉きんぐ約220店舗、安楽亭は約180店舗と、やはりローコストゾーンのチェーンが広く展開している傾向にある。客単価5000円以上のUSHIHACHIが88店舗というのは挑戦だが、フランチャイズも含め、関東や関西の都市部を中心に達成を狙っていくそうだ。
現在は、平均で1店舗当たり60名程度の集客を確保。渋谷店では日に約100人が入店する。起業当初の目標が、年間1億を売り上げる店。現在のところ、達成度合いは6割といったところだそうだ。
ランチ営業をもっと本格化するほか、近年、人件費が上がっている分、サービス品質で付加価値をアップすることを考えている。
ソフトとハードのバランスが今後のカギ
実のところ、同店の接客はそれほど悪くない。しかし豊島氏が考える「コスパNo.1」を実現するうえでは、サービス品質が低いのを感じているそうだ。
「商品価値を伝え、売り上げにつなげる接客を目指します」(豊島氏)
その一端に触れたように感じたのが、撮影で訪れた渋谷店だ。おすすめメニューの1つ「トロ肉3秒炙り」(990円)は、店員が目の前で焼いてくれるスタイルとなっている。
店長の市村嘉祥氏は、このメニューに関しては社内でも表彰されるほどの腕前とのこと。鮮やかな手さばきで、極薄のサーロイン肉を程よく色づけた。
これに卵黄を絡め、一口サイズのライスボールとともにいただく。1000円近くするが、一口でぱくっと食べてしまうのがおすすめ。甘い脂肪と、あっさりしたタレの味わいがもちもちしたライスの食感と溶け合う。
さすがA4ランクの肉だけあって、脂肪がかなり濃厚だ。そして心なしか、一般の焼き肉より甘さとクリーミーさがあるような気もする。これは「雌牛」という情報が念頭にあるせいだろうか。
一頭買いの同店ではもちろん赤身やホルモンを含め、さまざまな部位から選べるので、脂肪がそれほど得意でない人もバリエーション豊富に注文できる。
ただし、食べ物のメニューだけでなく、カクテル類など飲み物の種類も豊富なので、席数が多い店舗などではスピーディーな対応が難しくなってしまう懸念がある。
豊島氏の言によると、5年で88店舗は十分に可能とのことだが、ソフトとハードのバランスには留意する必要がある。せっかくハイレベルなサービスを提供しても、基本的なところで見落としがあると、客の厳しい目では、大きく減点されてしまう。少しずつブラッシュアップしながらクオリティーを高めていく必要があるだろう。
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