「A4雌牛」の焼肉チェーンがじわじわ伸びたワケ うたい文句は「コスパ日本一の焼き肉専門店」

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「集客は居酒屋としてはまあまあというところでしたが、利益が出ませんでした。売れるほどに赤字になってしまうということで、コンセプトとしてはよかったのですが収益モデルとしてはダメだった」(豊島氏)

そこで人件費を下げるために、客が焼く七輪焼きの店へとマイナーチェンジしたが、またもやうまくいかず。「七輪で自分で焼く焼き鳥」がなじみのないスタイルだったためか、思ったほど売れなかった。

パッションアンドクリエイト代表取締役の豊島堅太氏。大手居酒屋チェーンにて3年間勤務し、飲食店経営の経験を積んだという(筆者撮影)

「じゃあ、焼き肉食べ放題の店はどうだろう、と、長く焼き肉業態を営んでいる人に相談したところ、『一度、しっかりとした焼き肉店をやったほうがいいよ』とアドバイスされました。『商品で売る』というまっとうなことは面白くないという気持ちがあったのですが……。しかし、バックボーンがないコンセプトだけのものはお客様に見透かされるということがわかりました」(豊島氏)

ついに、地道な方法へと転換することにした。肉の仕入れや仕込み面に関しては、先人のアドバイスを受け、上質な肉の提供を基本に据えた。客単価は5500円と、ミドルクラスに設定。その代わり、「コスパ日本一の焼き肉専門店」をうたい文句とした。

仕入れは一頭丸ごと

「とにかく安いのではなく、肉の品質、サービス品質、店舗空間といったトータルバランスを見たうえでのコストパフォーマンスのよさについて日本一であるということです」(豊島氏)

最も特徴的なポイントが一頭丸ごとという、仕入れの方法だ。今でこそ、高級焼き肉店ではそうした手法のところが多いが、当時は珍しかったという。

一頭買いにはいくつものメリットがある。まず、上質な肉をリーズナブルに提供できること。また、そのインパクトだ。文字の迫力、そして店頭のショーケースにさまざまな部位の肉を陳列して、人目を引くことができる。

当日のおすすめ部位7カットを盛り合わせた「1頭盛り」は1人前2390円、注文は2人前から(筆者撮影)

ただし一方でリスクもある。注文が偏り、売れ残る可能性がある点だ。例えば、万人が好む部位、カルビばかりが売れて、そのほかが余ってしまうというようなことだ。

これに対しては、さまざまな部位を取り混ぜた盛り合わせをメニューに載せるなどして対応しているという。渋谷店のような繁盛店では、1頭が2週間でなくなるそうだ。

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