「東京喰種レストラン」はすべてが異色だった 場所は非公開、赤一色の店内、参加費は1万円

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料理はウェルカムドリンクの「ライチと薔薇」から始まり、アミューズ2品、アペタイザー2品、メイン2品、そしていちごジュースおよびデザートで締めくくられる。本格的なフレンチながら、「肝臓(フォアグラの三種)」など、「喰種」っぽい素材とメニュー名だ。

アペタイザーの「胸腺肉のムニエル(リードヴォー)」。大腿骨の皿に盛りつけ、赤い海藻で血管を表現(筆者撮影)

コースの合間には、喰種支配人や従業員が劇のストーリーを進めていく。従業員はそれぞれテーブルを担当しており、客に話しかけたり、料理の説明を行う。

といってもそれほど本格的なものでなく、食材の健康効果を少々怪しげに語る程度だ。そして客にとっては、現実と、「喰種レストラン」という異世界の境界がさらにあいまいになっていく。

以上が、喰種レストランのだいたいの流れだ。最後まで、東京喰種の世界に身を置いたような間隔で、食事とストーリーを楽しむことができる。また喰種たちとともに好きなところで写真撮影が可能だ。

期間延長した分のチケットも完売

この喰種レストランは参加費1万円(飲み物代別途)で安くはないながら、6月14日の予約開始後3日間で事前予約チケット2400席が完売。さらに当初の8月5日までから8月18日まで期間延長した分のチケットもすでに売り切れ状態となっている。期間内で3500人を動員する予定だ。

鹿肉の内もものロースト。肉料理は馬肉、鴨、鹿などバラエティにとんでいる。(筆者撮影)

企画監修は、パーティークリエイターの「アフロマンス」が担当。120万枚の花びらに埋もれるチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by佐賀」や、バスタブにつかりながら映画を見る「BATHTUB CINEMA」などの体験型プロジェクトを手掛け、話題となった。

メニュー監修は、モダン・フレンチの「レストラン・エール」の山本英男シェフが行っている。

では、実際に客の1人として参加しての評価はどうだろうか。実は筆者は、「東京喰種」のコミックや映画の存在は知っていたが、「スプラッターな作品」という先入観があり、これまで目にしたことがなかった。その前提に立っての感想である。

まず、参加型のエンターテインメントとしては、登場人物のファッションや空間がおしゃれであることや、それほど押しつけがましくない点、きちんとした上質の料理を提供する点などで、大人も十分に楽しめると感じた。

料理は正直なところ、判断に苦しむ。というのも、赤一色の空間や物語の設定、内臓や人肉を示唆する演出などに惑わされて、すべての料理に「血の味」を感じてしまったからだ。

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