レゴ「子供が求める玩具」見誤った失敗と教訓

アルゴリズムでは「人の心」まで解析できない

2000年代前半、なぜレゴの業績はよくなかったのか? 子どもたちを観察すると、アルゴリズムでは見つけられない原因が隠れていました(写真:tkc-taka/PIXTA)  
人文科学の有用性を説いた『センスメイキング』の著者であるクリスチャン・マスビアウ氏は、数々のグローバルカンパニーを成功に導いてきた。どのような方法を用いているのか――。2019年5月29日に立教大学にて行われた同氏による講演「AI時代におけるAIと人文科学の可能性」の一部を全3回にわたり公開する。

アルゴリズムは「万能」ではない

まずは5年前のことを振り返りたいと思います。当時、世界中ですべてがアルゴリズムで決定できるような感覚を誰もが持ち始めました。つまり、私たちの買い物や恋愛、出産のタイミングといった選択のすべてをアルゴリズムが正しく決定できるといった感覚です。

しかし、私はアルゴリズムだけでは必ずしも世界を正しく描写することはできないと感じていました。これは、私が哲学を専攻した人間であり、歴史や美術史、心理学といった人文科学を学んできた同僚と一緒に仕事をしてきたからなのかもしれません。

もちろん、アルゴリズムを使うべきではないと言うつもりはないのですが、自分のほうが、自分自身のことをよく理解していると思っていますし、それくらいの自信は持っていたいという気持ちもあります。

実際、アマゾンを利用すると、アルゴリズムによるレコメンドが表示されますが、私は自ら商品を探したほうが、よりよい結果を得られることを確信しています。ある調査によると、アマゾンのレコメンド機能によって買われる商品の比率は10パーセントにも満たないとのことで、やはりアルゴリズムだけでは人間の本当のニーズを知ることは難しいようです。

デートのマッチングアプリでも、「あなたはこの人と相性がいいですよ」「きっとこの人のことを好きになります」と提案する機能があるようですが、これを本当に信じている人がいたら、愛について一度立ち止まって考えることをお勧めします。感情や人生といった文脈をまず理解したほうが、より正しい選択をすることができるのではないでしょうか。そうしたときに重要となる知恵こそが、人文科学であると私は考えます。

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