スターだらけのJ1・神戸、クラブ経営改革の要諦 楽天ヴィッセル神戸の立花社長らに聞く改革

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一方、ヨーロッパでは、商業施設やレストラン、ジム、カフェ、ラウンジ、ショップが併設されているスタジアムが数多く存在している。

「われわれもそうしたことを考えています。このスタジアムを365日、どう盛り上げていくか。試合日しか人を集められないとしたら、サッカーはJ1リーグでは17試合しかない。その点で大きいのが、管理許可をいただいたこと。借り物だと投資ができないんですよ。バーラウンジを作ろうが、カフェを作ろうが、(ホームゲームが開催される)たった17試合では回収ができない。

しかし、管理許可の範囲内でかなり自由にできるので、われわれとしては、200日、300日を稼働させて回収する。それを目指した結果として、ここに大勢のお客様がいらっしゃる。そうすることで、バスや電車の利用者が増えるとか、神戸市への還元にもつながることなので、行政ともタッグを組みながらやっていきたいですね」

まずは、週末にスタジアムが人であふれる状態にしたい。そして、年末までに1回、コンサートを開催したいと森井氏は目を輝かせる。

サッカー以外のイベントでも満員にしたい

「サッカーではないイベントに2万人が集まる、ということをやっていきたい。視察したロサンゼルスFCのスタジアムでは、去年、コンサートを1回やっていて、今年はすでに6回の開催が決まっているそうです。ロサンゼルス市の行政としても、街が盛り上がることは推奨したいと。いろんな面で好循環を生むので、コンサートはぜひ、やったほうがいいよ、というアドバイスをもらったところです」

こうした取り組みにおいて強みとなるのが、ハイブリッド芝だ。もちろん、芝生の上に敷物を敷き、2万人が乗れば、天然でもハイブリッドでも負担は同じ。芝を殺さずにコンサートを開き、サッカーができる状態に戻す仕組みを作らなければならないが、芝の回復力や健康的な維持に関して、このハイブリッド芝は圧倒的に強い。

ヴィッセル神戸の本拠地、ノエビアスタジアム神戸のハイブリッド芝(写真:ヴィッセル神戸提供)

「サッカーの試合後は芝が削れるので、それを埋める作業が必要なのですが、ハイブリッド芝はそういう作業をほとんど必要としないんです。

ボールがよく走るので、うちの求めるパスサッカーとの相性が抜群にいいだけでなく、試合のない日のメンテナンス時間も縮小できる。その期間を使えば、イベントなど他のことができる。ハイブリッド芝の導入によって、他のビジネスもやりたいという欲が出てきたところなんです」

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