スターだらけのJ1・神戸、クラブ経営改革の要諦 楽天ヴィッセル神戸の立花社長らに聞く改革

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ヨーロッパのスタジアムでは試合前にファン・サポーターがお酒を飲んだり、スポンサー企業の人たちがパーティーをしたりする。試合を観たあとは、またお酒を飲み、帰路につく。観客のスタジアム滞在時間は4時間程度あるという。

「それは、野球の試合時間とほぼ同じなんですよ。サッカーは90分ですから、いかに試合前、試合後も楽しんでもらえるか。ピッチ内のエンターテインメントは今取り組んでいる最中ですが、試合前、試合後も楽しめるスタジアムにしたい。ボールパーク化と言ってもいいと思います。その空間をどうやって作るか」

観客がスタジアム観戦で楽しんでもらうために

そのため、今年2月には、事業本部 本部長(当時)だった森井誠之氏が中心となり、アメリカのロサンゼルスFCのホームスタジアムである「バンク・オブ・カリフォルニア・スタジアム」を視察したという。森井氏が説明する。

「2018年にオープンしたばかりですが、非常にスマートなスタジアム。デジタル化、スピーディーさが組み込まれた、最新型のスタジアムでした。うちのスタジアムが目指す姿に近く、われわれがキャッシュレス化にトライするにあたり、参考にすべきことが多かった。スタジアムのキャパシティは2万2000人で、そんなに大きくないですが、いちばんお金をかけているのがインフラ回り。誰もが快適に過ごせるための空間ということを意識していて、VIPの方々、料金の高い座席の方々をもてなすゾーンが大きく取られているんです」

2017年秋にヴィッセル神戸の事業本部長に就任。現在は取締役副社長執行役員として改革を進めている森井誠之氏(編集部撮影)

ロサンゼルスFCは観客を、プレミアムカスタマー、レギュラーカスタマー、サポーターと、大きく3つのカテゴリーに分けていた。

カテゴリーごとの観客とどう向き合うか、しっかりマーケティングしながら、スタジアム作りをしていたという。

「なんとなく満員にしよう、ということではなくて、どの顧客がどこにいて、何にどれだけお金を落としてくれるのか。ここは高いゾーンじゃない、みんなで声を出してもらう場所ですとか。そういうのがハッキリしている。われわれとしても、どの席を快適にし、どの席で盛り上がってもらい、どの席なら一般の人が来やすいのか、ということを価格差も含めて検討する必要がある。そういうことを学んできました」

ヴィッセル神戸はチケット価格体系を見直し、2018年7月開催試合よりダイナミックプライシングを導入している。

「価格というのは、場所や対戦カードに応じてあるべきもの。なんとなくこの金額です、ということではなくて、メリハリをつける必要があるんじゃないかと考え、価格差を設けさせていただいています」

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