アメリカでヘンリー・フォードがT型フォードの大量生産に成功し、クルマの大衆化が進んでから100年余り。いま、そのクルマを取り巻く環境が劇的に変化しようとしている。キーワードは「CASE」だ。
「CASE」とは、コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared & Service)、電動化(Electric)の4つの頭文字をとって作られた言葉で、2016年に独ダイムラーが自社の中長期戦略を発表した際に初めて用いられた。
クルマはすでにさまざまな機能を制御するため大量の電子機器を搭載しており、カーナビとあわせ、それ自体が情報端末としての機能を有している。ここにネットがつながることでセキュリティーや安全のほか、エンターテインメントなどのサービス拡大が期待されている。
地球環境問題への対応から電気自動車(EV)へのシフトが加速しつつあり、シェアリングエコノミーの流れはクルマの世界にもひたひたと迫っている。
ネット社会におけるこうした大きな変化は、クルマの世界が自動車業界だけのものではなくなりつつあることを示している。
急成長が予測される自動運転車市場
こうしたCASEのなかでも、とりわけ大きなインパクトをもたらすのが自動運転だ。矢野経済研究所が発表したADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムの世界市場規模予測によると、2018年の搭載台数は2385万台だが、2023年には5607万台、2030年には8390万台へと大きく拡大する見通しとなっている。
もっとも、一口に自動運転といっても、段階ごとに動作や範囲などが定義されており、実質的な国際標準であるアメリカの規格団体SAE Internationalが定めた基準では、レベル0からレベル5まで6段階に分かれている。
このうち、レベル1は自動ブレーキ、前車との車間を維持するACC(Adaptive Cruise Control)、車線維持機能(LKAS:Lane Keep Assist System)のいずれかが搭載されているケース、レベル2はこれら機能が複合的に搭載されているケースに相当する。
日本ではホンダの「センシング」や日産の「プロパイロット」搭載車がレベル2に該当するが、レベル2まではあくまでも「運転支援」という位置づけであり、「自動運転」となるのはレベル3以降ということになる。
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