「自動運転」で覇権を握るアメリカ企業はどこか 自動車業界だけでなく業種超えた展開本格化

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ちなみにレベル3はシステムが運転を行うが、要求に応じて同乗の運転者の対応が必要であり、レベル4、5では完全にシステムが運転を行い、運転者の対応は必要とされないと定義されている。

あらためて矢野経済研究所の世界市場規模予測を、レベル3以降についてみてみると、2018年実績はゼロだが、2023年には42万台(レベル3が22万台、レベル4/5が20万台)、2030年には1903万台(同373万台、1530万台)と予測しており、レベル4以降の完全自動運転車の伸びが目立っている。

現在、日米欧中など世界各国で自動運転車およびシステムの開発が進められているが、その中心もやはり完全自動運転車だ。とくにアメリカでは、GM、フォードなど長らく苦戦が続いた自動車メーカーに加え、グーグルなどITの巨人も参入。多くのスタートアップ企業も交えて、各社・各グループがしのぎを削っている。

自動車メーカーの動向は?

まず注目されるのは自動車メーカーの動きだ。その筆頭が世界3位のゼネラル・モーターズ(GM)。キャデラック、シボレーなど中・大型車とSUV、トラックを展開するかつての世界トップは、リーマンショック後の2009年に経営破綻したが、国有化ののち欧州、豪州、韓国などからの撤退やアメリカ国内の再編などリストラを進め復活した。

GMは現在、2016年3月に買収したクルーズ・オートメーション(現GMクルーズ)を中心に自動運転車の開発を行っている。クルーズ買収直後の2016年夏から公道でのテストを実施し、1年後には130台のテスト車両の生産を完了、2017年10月には自動運転車の“目”となるLiDARセンサーのスタートアップであるStrobeを買収している。

2018年に入ると、ハンドルもペダルもなく手動操作の必要がない完全自動運転車「クルーズAV」の2019年中の実用化を発表。また同10月には、ホンダと無人ライドシェアサービス用車両の開発での協業を発表し、ホンダから7.5億ドルの出資と12年間の事業資金2億ドルを受け取っている。

サービス事業でも、フードデリバリー企業DoorDashと提携し、2019年中に自動運転車による食品配達サービスのテストを開始することが伝えられている。

同じくビッグ・スリーの一角、フォード・モーター(F)は2016年8月、2021年までにレベル4の完全自動運転車を導入すると表明。その実現のため、LiDARセンサーのリーディング企業といわれるVelodyne Lidarへの出資や、コンピュータービジョンと機械学習ソフトウェアを製造するイスラエル企業SAIPSの買収などを同時に発表した。また、人工知能のスタートアップArgo AIに10億ドル出資し、自動運転車の頭脳として機能する仮想ドライバーシステムの共同開発も行っている。

2018年2月からはマイアミでテストが行われており、そこでは世界2位の宅配ピザチェーンであるドミノ・ピザ(DPZ)と提携し、自動運転車を使ったピザ配達に関する調査・研究も開始している。

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